第3話魔女の疑問

紗倉は、今朝ぶつかった彼に淡い恋心を抱いてしまっていた。


『あっ、ごめん。

これ、俺の名刺だから。何かあったら電話して。』


電話してって言ったのも彼だったし。

謝って来たのも彼だった。

でも、何故だが不思議な気持ちでもいた。

彼の名前は山村拓也。ぐらいしか知らない彼女は、もっと知りたかったのだった。

だが、しかし彼女には秘密があった。

魔法界のお姫様だったからである。

とある日~

家でのことであった。


紗倉『ジョーイ、また魔法を使っていい!??』


黒猫ジョーイ『また??何に使うの??』


紗倉『自動販売機まで魔法を使うわ。』


黒猫ジョーイ『自動販売機??』


紗倉『魔法使って行ってくるわ。』


そう言って彼女は魔法を使って自動販売機まで消えたのであった。

自動販売機は、彼と初めて出会った場所。

また会えるかも知れないと感じたからであった。


紗倉『これでよし!!』



『あっ、君…』


後ろを振り返ったら彼の姿があった。


紗倉『はい?あっ、山村さん??』


山村拓也『うん♪同じ場所で出会えるなんて運命だな。

今、何やってるの??』


紗倉『お金落としちゃって…』


【一人だと大変だから手伝うよ♪】って言いながらも周りをグルグル回ったり、自動販売機の下へと潜ってくれた。


山村拓也『はい、これ。』


紗倉『有難う御座います。』


~チャリンッ~

お金を渡した。


山村拓也『あっ、名前を聞いてなかった。

名前は??』


紗倉『紗倉【さくら】です。』


名前を聞かれちゃった。

ますます好きになっちゃうかも知れない。って心の中で呟いたのであった。


山村拓也『紗倉【さくら】ね♪』


紗倉『はい。改めて宜しくお願いします。』


山村拓也『敬語、使わなくても大丈夫だよ。』


そう言いながら、手を差し伸べる彼。

優しい人だな~って呟きながらも手を受け取った。

魔女の疑問は、人間界に住んでいる人間はこんなにも優しく接してくれるんだと、解決した。

そして、何時間もお喋りをした。

~夕方になった~


山村拓也『へぇ~っ、ここのマンションに住んでるんだ♪』


紗倉『はい。空き物件がちょうど空いていたので購入しちゃいました。

ダーリンも来る!!?』


山村拓也『ダーリン!!?』


俺と紗倉は、この日を境に親密に仲良くなっていった。

いつの間にか、あだ名もダーリンって呼んでいったのだった。

魔女の疑問を彼女は彼女らしく解決したそうだが俺は未だに彼女の秘密を知る由もなかった。


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