第2話営業マン

~バタバタバタバタバタバタバタバタ~


『…ち、遅刻だ~!!!!』


向こうから物凄い足音で鳴り響きながら自動販売機のほうへ走ってきたサラリーマン。

彼の名前は、山村拓也。


『…痛っ。』


『あっ、ごめんなさい。こ、これ俺の名刺。

何かあったら電話して。

じゃあ、急いでるからまた後で。』


プレゼント企画当日の朝。

彼が出勤しなければならないのは9時

起きたのは8時半過ぎだった。

直ぐ様、タクシーを拾って会社へ直行しなければいけないらしく、あたふたしていた。

その頃…

会社ではこんな会話が繰り広げられていた。


楠木吏『山村先輩、また遅刻ですかね~?』


彼の後輩である楠木吏。

彼の先輩である神山公也が揃っていた。


神山公也『遅刻だな~(笑)』


楠木吏『今日で何回目なんですかねぇ〜?』


そんな会話が繰り広げている最中に、地面を鳴り響いている足音と呼吸が聞こえた。


山村拓也『お〜っと!おはよう。』


楠木吏『お~っと!おはよう。じゃないですよ。

山村先輩!!

また、目覚まし時計掛け忘れたんですかぁ?』


山村拓也『そうみたいだな~。ごめん。』


『やーまむらちゃん♪』


あだ名で呼ばれて彼は振り返る。

上司の村井淳史【営業部長】と椛村毅志【係長】が突っ立っていた。


山村拓也『お、お疲れ様です。』


村井淳史『ギリギリセーフ♪山村ちゃん。

プレゼン企画の資料とパソコン、ちゃんと持参したかい?』


山村拓也『はい。』


そう言いながら、彼は黒いキャリーバッグからノートパソコンとプレゼン企画の資料を出した。

資料を配るように後輩:楠木吏に指示をした。


楠木吏『先輩、後でジュース奢ってくださいね♪』


山村拓也『分かった♪』


楠木吏は、プレゼン企画の資料を配った。

今回は貴社のプレゼンなので先方のプレゼント企画だったら本当に危なかっしい日になっていたであろう。


~◐◑時間後~

自動販売機にて、『はいよー♪』『ありがとうございます。』という会話が繰り広げられていた。

何とか、無事にプレゼン企画が終わったみたいだ。

♡♤喫煙所にて♤♡

~ガチャ~


山村拓也『お疲れ様です。』


神山公也『お疲れ様〜。』


スーツパンツからライターを取り出し、~カチッ~と火をつける。

その時だった。

喫煙所の窓をコンコンと音を立てて入ってきた。


楠木吏『お疲れ様です。』


山村拓也『今日はありがとうな。』


楠木吏『いえ、僕は全然大丈夫です。

ジュースありがとうございました。

山村先輩、今日もギリギリでしたね~。

今回で何回遅刻してるんですかぁ!??』


山村拓也『今日はギリギリセーフよ♪

楠木ちゃんもタバコ吸う!?』


楠木吏『基本的にタバコは吸わないですが、1本ぐらいなら大丈夫です。』


神山公也『まぁ、目覚し時計を掛け忘れた山村もダメだよな~。(笑)』


◇◆喫煙所のドアが開いた◆◇

ガチャッ

静かに閉まる音が聞こえた


村井淳史『神山ちゃん達、お疲れ様〜♪』


椛村毅志『あれ~?楠木君、タバコ吸ってたっけ?』


楠木吏『僕は吸いませんが山村先輩にもらいました。』


村井淳史『そうだったんだ♪』


椛村毅志『山村ちゃんも、もう先輩だもんね♪

でも、今日もギリギリだったけど間に合ってよかったね。』


山村拓也『すみませんでした。』


村井淳史『先方のプレゼント企画だったら、危なかったけどね~。

御社だから、大丈夫だったよ。』


2人の上司が来てからは、空気がいっぺんに変わったけども冷ややかな空気も変えてくれたのも上司であった。


村井淳史『まぁ、山村ちゃんも色々と大変だろうけど頑張って♪』


椛村毅志『村井先輩も大遅刻とかありましたもんね~。

真面目に頑張っていたのも知っていますけれども。』


村井淳史『何年前の話をしてるんだ??(笑)

山村ちゃん、今回は俺が大目に見るけど次回はダメだからね~。』


山村拓也『わ、、、分かりました。気を付けます。』


村井淳史『じゃあ、お疲れ様。

次のプレゼン考えなきゃだな~。』


椛村毅志『次のプレゼン、考えなきゃですね。

じゃあ、山村ちゃんごゆっくり♪』


そう言って喫煙所をあとにしたのであった。


山村拓也『上司があんな感じで良かったな♪』


楠木吏『そうですね〜。

でも、山村先輩今日はタクシーで来たんですか!?』


山村拓也『そうだね~。

今朝ね、人にぶつかったのよ。

それで余計に遅くなったって感じなわけよ!!』


タバコを灰皿に乗せながらも缶コーヒーを開けながら話していく。


神山公也『人って男性?女性?』


山村拓也『…女性です。』


楠木吏『名刺とか渡しちゃった感じですか??』


山村拓也『うん♪渡したね~』


楠木吏『それって絶対にクレームでくるやつですよ。大丈夫じゃないじゃないですか。』


山村拓也『大丈夫♪普通の人だったし。』


彼が言うぶつかった女性こそ、魔法界のお姫様だったのである。

名前は紗倉【さくら】

でも、肝心な名前を聞いてないから彼自身はまだそれに気付いていない。

その頃…

紗倉は、ぶつかった人から貰った名刺をただボーッと眺めながら電話をする覚悟をしていた。

そんなこんなで休憩時間も直ぐに終わり、喫煙所をあとにする3人。

そしていきなりディスクの上に置いてあった内線が鳴り始めたのであった。


『はい。お疲れ様です。』


楠木吏『山村先輩、外線です。(笑)』


【うわっ、間違えた!!】って言いながら、1回受話器を置いてしまったのであった。

『今度は、僕が出ますから。大丈夫です。』と山村に相槌を打った。


そんな際に電話が鳴り響いた。受話器を取る。


楠木吏『◇◆☆☆☆の楠木です。はい、お待たせいたしました。』


受話器の向こうから女性の声が聞こえた。


『山村拓也さんっていますか?』


楠木吏『少々お待ち下さい。今、山村と代わります。』


『有難う御座います。』


▲◇◇◇◇◀◀◀◀◀◀◀◀◀◁◁◁◁♢♢♧

保留中~


楠木吏『山村先輩♪外線です。宜しくお願いします。』


山村拓也『わ、分かった。』


保留音が止まった。


山村拓也『はい、只今代わりました山村です。』


『今朝、ぶつかった者です。』


山村拓也『今朝??大丈夫だった??』


『今、会社の前に来てます。』


山村拓也『え〜っと、、ちょっと待ってて。』

◐◁♧◐◁◁◁◀◀◀☆☆▽▽▽▽▽♡♡♧♡♡

保留中


山村拓也『会社の前に来ちゃったわ。』


楠木吏『だから、むやみやたらに名刺渡しちゃだめなんですよ〜。』


山村拓也『どうすればいい?』


楠木吏『この時間は忙しいの分かってるじゃないですか。断って下さい。

今、山村先輩と僕とでこの大量な資料片付けなきゃいけないんですから。』


山村拓也『分かった。』


用件を無事に伝えられれば大丈夫であろう。

…だがしかし、、、


『分かりました。じゃあ、連絡先だけでも教えて下さい。』


山村拓也『え〜!!?』

■□◑▲◐◐◐♧♧◀◀◀▽▽●☆☆☆☆♧♧♢

保留中


山村拓也『連絡先だって。』


楠木吏『教えればいいじゃないですか~。』


山村拓也『今、あるの仕事用の携帯だからさ。

プライベートの携帯持ってなくて連絡先分からないんだよな~。』


楠木吏『山村先輩、僕が教えますよ。』


山村拓也『楠木に教えたっけ??』


楠木吏『この間の飲みのときに教えてくれました。

でも、僕も仕事用の連絡先は知らないんで教えられないんですけどね。』


山村拓也『じゃあ、よろしく。』


■○▲▲◇◁◁◀♧◁◐▲▲▲■□□□△▲▲▲

保留音が又しても解除された。


楠木吏『大変お待たせ致しました。

只今、山村が席を外していますので代理で私がお伝えします。

▲△▲-◇◆◇◇-♢♧♢♧でお願いします。』


『分かりました。有難う御座います。』


そんなやり取りを数分間しながら、受話器を置いた。

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