戦士「終わった」魔法使い「頑張れ」

戦士「やめ、やめろー! 俺じゃない、俺は違うんだ!」


魔物「何が違うんだ? なあ?」


戦士「だから何度も言ってるだろ、人違いなんだって!」


魔物「違わないさ、お前から溢れるオーラ、魔力の濃さ、強者の匂い、間違いない、お前勇者だろう! なあ、勇者なんだろう!」


戦士「違う、俺は戦士、ただのどこにでも居る戦士だ! 頼む、信じてくれ!」


魔物「嘘をつくな! ただの戦士ごときがこれ程頑丈な訳が無い! 我ら魔王軍の集中攻撃を受けてなおピンピンしている、それが勇者である証拠であろう!」


戦士「これは魔法使いに飲まされた薬の効果なんだ、生命力を十倍にする効果があるらしいんだ、信じてくれ!」


魔物「例えその薬の効果が本当であってもお前の生命力は異常だ! やはりお前は勇者なんだろう! それに、反撃としてお前が放ったビームはかなりの威力であった、勇者でないのならそれはどう説明する?」


戦士「それは魔法使いによる人体実験の副作用の産物だ! 色々と改造された結果、なんか目からビームが出るようになったんだ! 嘘じゃ無い、信じてくれ!」


魔物「なるほど、確かに勇者ではなさそうだ」


戦士「やっと信じてくれたのか」


魔物「だが、お前が勇者でなかろうとも、お前の戦闘力は脅威だ、ここで始末させてもらう。それにお前はどこにでも居る戦士だと言ったな? どこにでも居る人間がこれ程まで強化されているのならばそれは恐ろしい事だ、お前の死体を解剖する必要があるな!」


戦士「そんな……勇者じゃないなら見逃してくれないんですか!」


魔物「命乞いするなら戦場に来るな!」


戦士「借金のせいで、無理矢理連れてこられたんです、自分の意思で来た訳じゃないんです、信じてくれ!」


魔物「祈る時間ぐらいはくれてやる」


戦士「ダメみたいですねコレ」


魔物「ではくたばれ」


戦士「こうなったら、絶対生き延びてやる!」


◇◇◇


魔法使い「どうやら戦士の奴いい感じに囮としての役割を果たしている様だな。実験は成功の様だ。まさか趣味でやってた事が役に立つとは思わなかった。これで魔王軍にバレずに撤退できますね勇者様」


勇者(少女の姿)「……性別戻してください」


魔法使い「可愛らしい少女の姿ならバレずにいられるのでしばらくはこのままです」

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