スライム「ぬるぬる」戦士「ヤバそう」

スライム「ぬるぬる」


戦士「最悪だ、スライムが居てやがる! はるばる異臭漂う下水道にどぶさらいの仕事をしに来たってのに」


スライム「ゆらゆら」


戦士「くそぅ、コイツは物理攻撃が殆ど効かないから魔法の使えない俺ではどうしようもない相手、どうすればいいんだ!?」


スライム「ころころ」


戦士「近づいてきた!? どうする、持ってるのはバケツしかない、これでどうやって戦えばいいんだ……」


スライム「もぐもぐ」


戦士「こいつ生活排水などの汚物を食ってやがる! 食えば食うほど大きくなっている! このままだとヤバいことになる!」


スライム「のびのび」


戦士「幸いにも今はまだそれほど大きくなってない、逃げるなら今のうちか…」


スライム「わけわけ、ぴょんぴょん」


戦士「なにッ!! 分裂した挙句回り込んできただと!! これでは逃げられない! まさかこいつ、スライムなのに知能があるのか!」


スライム「わけわけ、わけわけ」


戦士「まだ分裂してやがる! この時間、魔法使いは仕事だし、このままではスライムにやられる、どうにか助かる方法は無いのか…俺一人では無理だ、せめて誰か居ないのか…」


マッチ売り「呼びましたか?」


戦士「うわっ! お前はあの時のマッチ売りじゃないか! どうしてこんな所に!」


マッチ売り「減刑の為に働かされていまーす。今日はどぶさらいの仕事を割り当てられたのでここに居るのは偶々でーす」


戦士「随分とキャラ変わってるよね? 何があったの?」


マッチ売り「まあ色々とありまして…今は空元気みたいな感じでやってまーす」


戦士「…大変だったんだな」


スライム「てくてく」


戦士「やべぇ、スライムのこと忘れるところだった」


マッチ売り「厄介ですよねスライム。でも、こんな事もあろうかとマッチ隠し持ってて正解でした。取り敢えず燃やしますね」


スライム「あつあつ」


マッチ売り「…あまり燃えませんね。どうしてでしょうか?」


戦士「魔法じゃ無いからだろ」


マッチ売り「ありえません! スライムに炎が効かないなんて!」


戦士「ここ下水道! 魔法の炎でない限り下水で消火されるに決まってるだろ!」


スライム「そうだそうだ」


戦士「いや喋るんかい!?」


スライム「あ、ヤベ…ぷるぷる」


マッチ売り「……どうしますか? どうやって燃やしますか?」


戦士「……ここにバケツがある。どうにか奴を下水から引き離すことさえできれば……」


スライム「やられてたまるか! 先手必勝!」


戦士「うわ! なんか触手を槍みたいな形にして伸ばしてきた!」


マッチ売り「かなり殺意高い形状してますよあれ! 当たったら身体の内側からズタボロにされそうですね!」


戦士「しかも何体も居てやがるから逃げ場が無い! このままやられるのか…」


マッチ売り「まだ諦めるのは早いですよ、方法ならあります。スライムそのものが燃やせないのなら、


戦士「マッチ売りお前、まさか…」


スライム「自分自身を薪にして突撃するつもりか!?」


マッチ売り「それでは戦士さん、一緒に燃えましょうか!」


戦士「…へ? なに!? 熱い、熱い!? 燃えてる! 燃えてるんですけど! 俺も燃やす必要あった!?」


マッチ売り「自分自身を燃やすのはやっぱり熱いですねー。でもこれなら下水で消火されませんよ! 後はこのままスライムに向かって走るだけです!」


戦士「なんでお前は余裕なんだよ!? こうなったらスライム、お前も道連れだ!」


スライム「ば、ばかな!? こんなふざけた奴らにやられるなんて!? ぐはっ!」


◇◇◇


魔法使い「なるほど、それで全身火傷なのか」


戦士「死ぬかと思った」


魔法使い「まあ、あのスライムを放置してたらかなりの被害が出てただろう。それで、その余波で破壊された下水道の修理費、どうするつもりだ?」


戦士「……闘技場行ってくる」


魔法使い(まあ、不慮の事故だから殆ど国が負担してくれてるけど、それでも戦士にとっては払うのキツい金額だし、今回ばかりは仕方ないか)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る