マッチ売り「黄燐マッチいりませんか?」戦士「いりません」
マッチ売り「いりませんか? 黄燐マッチいりませんか? そこの人、黄燐マッチいりませんか?」
戦士「そんな危険物いりません」
闘技場へと続くとある裏通り、そこでマッチ売りの小さな少女が黄燐マッチを売っていた。
マッチ売り「なんで…なんで買ってくれないんですか⁉︎」
戦士「そんな危険物よく売ろうと思ったな! 赤燐マッチが開発された今時黄燐マッチなんて売れる訳無いだろ」
マッチ売り「なんでこんなに早く赤燐マッチが開発されたんですか⁉︎ まだ黄燐マッチの在庫が大量にあるのに⁉︎」
戦士「ドンマイ」
マッチ売り「同情するなら黄燐マッチ買ってください!」
戦士「今お金無い」
マッチ売り「マッチいりませんか? それともここで燃やされますか?」
戦士「この子怖いなぁ」
マッチ売り「そりゃこっちは生活かかってるんですから必死になりますよ?」
戦士「マッチ売るノリとトーンで話さないで。後、そこは疑問系じゃ無いと思う」
マッチ売り「私の生活の為にマッチ買ってくれませんか?」
戦士「いや、こっちも生活あるんで」
マッチ売り「働きもせず、借金でギャンブルしかしてない癖に?」
戦士「何故それを⁉︎」
マッチ売り「ああ、やっぱりそうなんですね。昼間っから闘技場に向かうのはそんな人しかいないんですよね」
戦士「くそぅ、鎌かけられてたか!」
マッチ売り「そんなことに金を使うぐらいなら黄燐マッチ買ってくれませんか? それともここで貴方の冒険を終えますか?」
戦士「せめて黄燐マッチ以外のマッチにしてくださいお願いします」
マッチ売り「ならこの世からさようなら」
戦士「ちょっと待って‼︎ 黄燐マッチしか無いんですか⁉︎」
魔法使い「さっきからうるせーぞてめーら‼︎」
ちょっと不機嫌な魔法使いが現れた!
マッチ売り「誰ですか、あなたは!」
戦士「魔法使い! こんないい時によく来てくれた! 助けてくれ!」
マッチ売り「チッぃ! こいつの仲間か! ならば先手必勝! これでもくらえぇー!」
マッチ売りは黄燐マッチ投擲した!
魔法使い「嘘だろオイ! なんかうるさいから様子見てくるように上司から言われただけなのに、なんかヤバそうな奴から黄燐マッチ投げつけられるなんて!」
戦士「災難だな」
魔法使い「いやお前当事者ぁ!」
マッチ売り「そんなことを言っていられるのもいまのうちだけだ! このマッチの火によってお前達の冒険も終わりを迎えるのさ!」
マッチ売りは黄燐マッチの投擲を続けている!
戦士「最初とキャラ違うよね君? そんな話し方じゃなかったよね? もしかして化けの皮剥がれたの?」
魔法使い「相手を煽ってる場合か! 早くしないと、どこかに引火して大惨事になる! その前に奴を止めるぞ!」
戦士「それって俺も戦う流れなの?」
魔法使い「…うん…まぁ…一応な…」
戦士「そんな戦力外とはっきり言ってくれた方がまだマシな反応すんの本当にやめてくれないか? どう考えてもあっヤベって顔してんのわかるからな」
魔法使い「すまん動揺していたみたいだ。戦力外だからお前は肉盾となれ」
戦士「より酷い言葉がきたんだけど(泣)」
マッチ売り「うふふ。よく燃える。全てを…全てを灰に…ふふふ」
戦士「そろそろヤバくないかこれ? もはや話すらできないぐらいになってそうだけど…」
魔法使い「準備はできた、〈召喚:
炎魔人が現れた!
マッチ売り「なッ! 炎が消えた⁉︎ いや、違う消えたのではなく、あの炎魔人に取り込まれたのか!」
戦士「ねぇ、明らかにキャラ変わってるよね君?」
魔法使い「そんなことはどうでもいい。これ以上時間をかけると職場に迷惑をかけることになる。イフリート、やれ」
炎魔人「了解した」
マッチ売り「やっ…やめてください、すみませんでした! ちょっと調子に乗ってました、だからやめ…いやァァァ!」
その後、マッチ売りは死なない程度にボコられた。
◇◇◇
そして時間は流れ、その日の夕方。
戦士「いやー助かった。ついでにかなりの額の報奨金までもらえて。それにしてもいいのか? 報奨金全額俺が貰っても?」
魔法使い「まあ、その後の後始末の全てをお前に押し付けたからな。そんぐらい貰っとけ。それにしても、まさかあのマッチ売りを捕らえただけで報奨金が貰えるとはな」
戦士「他の所でも割と強引な押し売りしてたみたいだぞ。衛兵からもマークされるぐらいには被害が出てたらしい。どうやらあのマッチ売りはそこまでしないと生活できないくらいには困窮してたらしい」
魔法使い「捨て値で売られるぐらいの黄燐マッチしか持ってなかったのはそういう理由か。それでその金どうするつもりだ?」
戦士「もちろん闘技場で賭けをするために使うつもりだが?」
魔法使い「…少しはギャンブル以外もしろ(呆れ)」
戦士「善処する」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます