戦士「どうしても闘技場に行ってしまう」借金取り「金返せ」

戦士「また今日も来てしまった。でも今日こそは勝つぞー!」


借金取り「お前、状況理解してるのか?」


 闘技場前、そこには戦士と借金取りが居た。


戦士「今日こそは、今日こそは勝つんで、どうか見逃してください、お願いします」


借金取り「そろそろ借金が二十万になるぞ、返済能力そんなに無いだろお前、この借金どう返すつもりだ?」


戦士「いや、だって今回勝てば返せますから、なんか今日は勝てる気がしますんで」


借金取り「普通に働けや! ギャンブルで儲かる訳ねーだろうが! 湖の底にでも沈めてやろうか?」


戦士「ちょっと勘弁してくださいよぉ〜! 今回は本当に勝てますから!」


借金取り「…で、どうやって勝つんだ? そこまで言うならなにか勝つ方法でもあるんだろうな?」


戦士「もちろんですよダンナ〜! ほら、これ見てください、『闘技場で必ず儲かる方法』って本買ったんで。この本に書いてる通りにすれば返済も余裕ですよ〜!」


借金取り「それに書いてあること全部でたらめだぞ。ギャンブルに必勝法なんて存在しねぇんだよ」


戦士「そんなの嘘だ! 実際にこの通りにして勝った人多いって書いてあるし!」


借金取り「現実を見ろよ。それで儲かるならギャンブルは成り立たねぇんだよ。元々ギャンブルってのは胴元が儲かる仕組みになっているんだよ。そんなことよりさっさと働いて金返せ」


戦士「嫌だ! 俺は楽して稼ぎたいんだ!」


借金取り「…ならいい方法が二つある」


戦士「本当ですか! 教えてください!」


借金取り「一つはお前を闇市で売り払うこと、もう一つがお前が闘技場に剣闘士として試合に出場することだ。どっちがいい?」


戦士「剣闘士やるので命だけは勘弁してくださいお願いします」


 こうして戦士は剣闘士として試合に出ることとなった。


◇◇◇


戦士「いよいよ試合か、できれば弱い相手だといいんだけど」


 戦士は試合の舞台へと向かった。そこには、血まみれで倒れている剣闘士と、なんか強そうな剣士が居た。


剣士「次の相手が来たか…少しは楽しませてくれ…」


戦士(あかんこれ、絶対やられる)


◇◇◇


借金取り「おう、生きて戻ってきたか」


戦士「痛いよ〜主に全身が痛いよ〜」


借金取り「まさか全身を切り刻まれても生きてるとは…弱いけど壁役としてはかなりのものじゃねーか」


 闘技場の控え室、そこには借金取りと全身に包帯を巻かれた戦士が居た。


戦士「あの剣士怖い。魔法使いより怖い」


借金取り「まあ、今回の試合で借金分の二十万は稼げたんだからいいじゃねぇか」


戦士「まさか生き残るだけで金が貰えるとは。思ったよりボロい仕事だな。剣闘士やってればしばらくは借金無しで生活できそうだな〜♪」


借金取り「あの剣士相手に生き残ったのお前だけだからかもな。金目当てで来た他の奴らは全員あの世行きだったみたいだ。この闘技場には他にもヤバい奴らはゴロゴロいる。剣闘士なんて今回限りにしてまともな仕事探すことを勧める」


戦士「普通に働けるように善処します」

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