第25話

ずっと前に書くだけ書いて放置してたやつです。

モチベが上がらなかったのと、普通に忙しいです。

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【side ノア】

 この屋敷の側近のアリバイを調べあげた僕は、屋敷の人たちをロビーに呼び出した。勿論、アリスさんにも来てもらっている。


「事件は解決しましたかな。ノア殿。」


「えぇ、解決しました。」


 周りからは、どうせアリスさんが犯人だと言う声がコソコソと聞こえる。


「結論から言いますと、アヴェーヌ家の古参のひとり…そこの執事さんです。」


「いや、待て。ノア殿、こいつは先代の若い頃から仕え、私とも古い仲だ。こいつほど、我が家に忠誠心の高いものはいない。」


 そうだ、そうだ。あの人が殺す訳ない。

 世界一の探偵と言ってもただの噂かぁ。


 と言った声が周りからは聞こえてくる。


「僕は、何故マルス様を殺す必要があったのか考えたんですよ。マルス様が死んで、アリスさんが当主になれば、側近ならば、簡単にこの家を裏から操れる。メリットを考えて、下のものではなく、犯人は側近の中にいると絞りました。あるいは、アリスさん。その中で、アリバイがないのがそこの執事さんだけなんですよ。」


「それならば、アリスだ!そいつが殺ったんだ!」


 そんなに娘を犯人にしたいか…。


「アリスさんが犯人でない証拠もありますよ。僕の目は魔眼でしてね、魔力を見ることが出来るんです。マルス様に着いていた魔力を見ると、アリスさんのものとは異なっていた。この家の当主であるあなたなら分かるはずだ。僕の魔眼は本物であると。」


「そ、それは確かに。だが、それがどうした。魔道具もある。」


「犯行可能な魔道具もこの家から存在が確認されませんでした。魔法も使っていない、魔道具も使っていない。」


(あと、マルス様のあそこに残っていた精液…は言わないでおこう。)


「アリスさんに犯行は不可能だ。魔法を使わず、物理攻撃をしたなんて反論は無駄ですよ。凶器なんて存在していませんでした。」


 すると、


「くくく、カッー、ハハハハハハハハハッ」


 ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


 掠れたような、狂気に満ちたような笑い声が聞こえてくる。


「さすが、さすがです。探偵様、私が殺りましたァ。やはり、やはりこうでなくてはァー」


「どうしてこのようなことを?」


「動機は簡単に言えば探偵様の言った通りですよ。私はね、先代当主の能力に惚れて、この家に仕えることになったんです。あのお方はまさに最高の魔法使いだった…。それに比べて、ライン様もマルス様も劣るんですよ。」


 執事さんは、実に愉快そうに話し始める。家の人達は全員唖然としている。


「あぁ、勿論ライン様もアルス様も優秀でしたよ。けれど、私に言わせればゴミです。ゴミ以下です。だから、私は考えたんです…。」


「何をですか…?」


「私はあのお方に次いでの実力があると自負している。つまり、私の最高の遺伝子をあのお方の血筋であるアリス様に仕込めば、もう一度神童に出逢える。私はそう思っているのですよ…。」


 き、気持ち悪いな…。アリスさんも顔を青くしている。現当主のライン様は絶望したような顔をしている。


「ですが…今日で気が変わりました。探偵様、あなたのその眼、その才能は素晴らしい!!ぜひ、アリス様といかがですかァ!?ハァハァ、私はみたい。あの方のような人をもう一度!」


「な、何をいっているんですか!?アリスさんの気持ちも考えずに!ですよね、アリスさん!?」


「……」


 僕から見て、アリスさんの顔は真っ赤で、それに魔力も大きく揺れている。


(これは、相当怒っているってことだ。)


「お、おほん。今まで長く我が家に使えてきたお前が犯人だなんて…信じたくはないが次期当主を殺害など到底許されるものでは無い。よって、処刑とする。」


「えぇ!えぇ!分かっていますとも!本当は生き残り、新たな才能の誕生を見たい!ですが、私が死ぬことによって、またあの方のような者が生まれると言うならば、喜んで死にましょう!!」


(僕の手によって、この人が死ぬ…。けれど、これも仕方のないことかもしれない。)


「(最後に探偵様、こちら、最高級の媚薬です。どうぞ。妊娠もしやすくなります。)」


「い、いりませんよ!!!」


 と言って、僕はそれをこっそり懐にしまった…


 ――Mystery file 2 : アヴェーヌ家殺人事件 「解決」――

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