第23話
俺は今、アリスの部屋にいる。生身で行く訳には行かないので、黒装束を纏い、顔面には認識阻害の魔道具を使用している。
「あ、あなた誰よ!?」
「酷いな、俺はお前にとっての恩人だぞ。強くなれただろ?まぁ、あんなこと言ってたのに言う通りにするなんてな。」
「…」
アリスは俺に向かって魔法を放ってくる。前の時よりも、威力は見るからに上昇していた。
「おー、凄い凄い。やはり、俺の考えは当たっていた。」
「死になさい。」
アリスは自分の部屋なのに構わず、魔法をぶちかましてくる。だが、俺はとても優しい紳士なので、この部屋が壊れないように全て相殺してあげた。
「くぅーなんで効かないのよ!」
「大丈夫、大丈夫。これから、お前はもっと強くなれる。焦るな焦るな。」
(こんだけあれば、王女様の対魔力も突破できるか…。王女様のプライド、潰せるかなぁ。)
そこで、勢いよく部屋の扉が開かれる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【side ノア】
アリスさんの部屋へと向かっている僕は部屋からアリスさんの魔力の使用を感じ取った。
「レイカさん!アリスさんの部屋から魔力反応です。」
僕はアリスさんの部屋を開け、部屋に入る。
部屋に入れば、窓際に黒装束の男、手前側にアリスさんがいる。男の方からは、魔力を感じる。おそらく認識阻害の魔道具を使用しているのだろう。
「やあ、探偵さん。いきなり、ノックもせずに部屋に押し入ってくるなんて…礼儀がなってないよ。」
「お前は窓からの不法侵入だろ?」
男からのナイフの投擲。レイカさんが弾いてくれる。
「じゃあ、俺はここら辺でお暇するよ。そこの女と話したかっただけだしね。あぁ、今回の事件、俺は犯人じゃないから。」
男は窓の方から逃げようとする。
「レイカさん、追って!」
「はい!」
二人が外へと出ていき、部屋にはアリスさんと僕の二人だけが残った。
「アリスさん話を聞かせて貰えますか?」
「…いいわよ。最初に言っておくけど、私は殺ってないわ。」
「それじゃあ、以前よりも明らかに魔力量、質が向上している理由は…?」
「それは…あの男の言う通りにしたら…」
あの男の言う通り…?自分の手で殺さずに魔力量を増やす方法があるのか?
「具体的にどんなことを?」
「会いに行っただけよ。お兄様が寝てる時に。深夜1時くらいに…。ぐっすり眠っていたわ。」
「それだけ…?」
「…いや、他に……の……を…んだ…。」
え?声が小さすぎて聞こえない。
「え?なんて?」
………
……
…
「お兄…様の…体液を…飲んだ…。」
「…」
「だって、あの男が!そうしたら強くなれるって!理由も理屈も分からないけどほんとにそうなったの!」
アリスさんはそれだけ叫んで、ソファに顔をうずめている。そして、話を聞いていて、こんな殺人が起きた状況なのに僕の股間は膨れ上がっていた。
「え、えーと。アリスさんのお話が本当だとすれば、殺人時刻は1時、色々あって1時半以降だとしましょうか。」
「…3分よ。1時3分以降よ…。」
(あ、ありがとう…。てか、早いな。)
「わかりました。その時間帯から発見時間の午前5時。この間のアリバイを調査することにします。貴重なお話ありがとうございました。必ず、解決します。」
「もーいいから、早く出てって!!」
僕は、この屋敷の側近と言われる人達、古参の人達のアリバイを調べることにした。
(レイカさんには追ってもらっているし、ここからは僕一人での仕事だ。)
大丈夫、一ヶ月前よりも魔法の扱いは上達している。万が一があっても、時間くらいなら稼げるはずだ。
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次回「アルスの逃走劇」デュエルスタンバイ
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