第20話

 翌朝。


「じゃあ、チェックアウトした後、朝食を採って学院に帰ろうか。」


 そう言って、俺たちはチェックアウトをしに受付に向かう。


「あれ?店主さんいませんね?」


「あぁ、寝坊でもしているんじゃないかな?」


「真面目そうな方でしたのにね。」


(昨日、やり過ぎたかな…そんな、してないと思うんだけど…)


「じゃあ、金と鍵と書き置き残して行くか。」


「いいんでしょうか…?」


「まぁ、大丈夫、大丈夫。」


 そうして、俺たちは宿を後にした。


(また、明後日から学院かぁー、やることないんだよなぁ。)


 ――約一ヶ月後の夜


俺は姉様と実家の方に戻ってきている。何故かというと少し検証したいことができたからだ。家に帰って来て知ったが、母様が妊娠したらしい。


「アルス、したいことって何?」


「すぐに分かるよ。」


そんな会話をしながら、俺たちは父様の部屋を訪れる。


「お父様、失礼します。」


「どうしたんだい?エリカとアルス?こんな夜に…」


「久しぶりに帰ってきたのでお話しでもと思いまして。」


そう言って俺は父様に紅茶を差し出す。


「厨房から貰ってきました。どうぞ。」


「あぁ、ありがとう。」


この紅茶には、即効性の精力剤と媚薬を盛ってある。


「うっ、何かしたのかい?アルス…」


「すみません。栄養剤のつもりが他の薬と間違えたみたいです。姉様…お慰めしてあげては?」


「!?、分かったわ…。お父様、お慰めします。お母様には何も話さないので。それに、お辛いでしょうし。」


「わ、私は娘に手を出すことはしない!」


・・・


・・


(なるほど、なるほど。直接の方が効果は大きいと…それにしても、あの薬は効果すごいな。あんな元気な父様は久しぶりに見た。)


検証も終了したし、二人の行為を見ていてムラムラした俺は母様の部屋に向かった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 一ヶ月も経てば、クラスの様子も分かってくる。王女様に集まるやつもいれば、平民同士で集まるものたちもいるし、俺の元に群がるその他大勢もいる。


「おいおい、こんなとこでくっちゃべってるのもいいけど、試験の対策はしてるのか?」


「「うっ」」


「アルス、まだ大丈夫だ。あと3日もある。」


「…教えないからな。」


「「え!」」


 もうすぐ、この学院で入学してからはじめての試験がある。俺はこの一ヶ月、時々サボったりすることもあったが、試験で手を抜いたりはしない。


「俺はリリアとの勉強で忙しいからな。」


「はい、そうなんです。私と…2人きりで…」


「そこんとこ、頼むよぉ。アルスー。先っちょ、先っちょだけでいいから。」


 なんなんだ。その頼み方は…


 そんなことをしていても、試験の日はすぐにくる。当日も俺は難なく解いていった。


 ――結果発表――

 一位 ノア 498点

 二位 アルス・フォン・オルレアン 497点

 三位 アイシャ・フォン・ゼルナー 489点

 ・

 ・

 ・

 十九位 リリア・フォン・アルデンヌ 455点

 二十位 アリス・フォン・アヴェーヌ 449点


 試験の結果発表上位二十名のみが点数とともに張り出される。


(んー、惜しかったなぁ、ちょっと凡ミスしちまったからな…)


「やあ、アルス。やっぱり頭いいんだね。」


「学年一位から言われてもなぁ。嫌味かよ。」


「一点差だし、ほとんど変わらないよ。」


 と、会話をしていると、


「ねぇ、少しいいかしら?」


「なんですか?アイシャさん?」


「どうして、あんなに点数が採れるの?」


「あぁ、それなら僕だけじゃなくてアルスにも…って居ない!?」


 俺には、王女様に連れていかれるノアを見守ることしか出来なかった…。


(関係を進めるチャンスだ。頑張ってくれノア!)


 まぁ、もうそろそろ次の事件も起こしたいよな。ノアが早めに仲良くなってくれれば、長めに攻略の時間がとれるからな。と、思っていると順位表の方から離れていくアリスを見つける。


「アリスさん、納得のいく結果は出た?」


「なによ?私より優れているからマウントでも取りに来たの?」


「いや、君はもっと上を目指せると思ってね。学力は努力の問題だけど、戦闘ならきっと王女様にも勝てるポテンシャルを持っている。」


 俺はアリスと廊下を進みながら話し続ける。


「俺の言うことをすれば、すぐに強くなれるよ。」


「話しなさい…」


「君の兄を殺すんだ。君の家は魔法の名門で魔力量、質共に完璧で、君たち兄妹の魔力の質はきっと似ているだろう。」


 人を殺せば、魔力量は増える。魔法の名門とあれば、能力もきっと向上することだろう。


「ありえないわ。お兄様は、家の跡取りよ。自分のためだけにそんなことはしない。」


「そのお兄様からも、家族からも君は下に見られてるだろう。見返すチャンスだよ。なーに、跡取りは心配しなくていい。君が力をつければ何も問題はないさ。」


 俺がそういうと、アリスは俺に向かって魔法を放ってくる。全然、効かない。


「ぐっ、あなた、何を言っているかわかっているの?私の家の爵位はあなたよりも上よ。」


「それが、どうした?それじゃあ、最後に俺の仮説…考えを話しとくよ。やるかやらないかは知らないけど。」


………


……



 そう言ってから、俺は魔道具を使用した。


 これは、話の内容は覚えているが、誰と話していたかだけを忘れてしまう都合のいい魔道具だ。姉様に2年かけて作って貰っていた。


(じゃあね。)


 俺はアリスのケツを叩いてから、寮に戻った。


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できるだけ、テンポよくやっていくつもりです。

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