第15話

(あぁー、死ぬ死ぬ死ぬー)


 俺の全方向から、火球が飛んでくる。

 気力による最大身体強化で、切り落とし、その空きスペースを利用して回避する。


 俺がいたは場所は既にえげつないほど抉れている。


(ちっ、初級魔法の威力じゃないぜ。)


「アルス様、流石ですね。とてもお強いです。」


「開始から一歩も動いてないお前には言われたくねぇよ…」


 俺は、戦いによってできあがった岩みたいなものをレイカに蹴飛ばす。


「喰らいませんよ。」


「知ってる…」


 俺は何十個の岩みたいなものを空中に蹴りあげる。


「だから、足場として使わせてもらうよ。」


 レイカが魔法を複数展開してくる。それを、地上、空中、空間を最大限使って回避する。そして、距離を確実に縮めていく。


「近づいたぞ!チート女!」


 俺は剣を振り下ろした。

 だが…俺の剣は、レイカに届く前に止まった。


「甘いです。アルス様。」


 俺の四肢に鎖が巻きついている。


(なにこれ、原作に無かったじゃん…。使うほどの相手がいなかったってことか…)


「この鎖は、魔力の質が高ければ高いほど硬くなる鎖です。アルス様の身体強化はもの凄かったのでこの鎖はとても硬いはずです。私の勝ちです!ノアは私のものです。」


 レイカは大きな胸を張って、勝ち誇っている。


(あぁー、昨日物凄いスピードでノアを連れていったのは、俺に盗られるのが怖かったからか…)


 でも…


「あれ。彼氏に聞いてなかった?」


「ひゃっ、まだ付き合ってないです!って、何をですか。」


「俺…魔力ないんだよ…」


「へっ?」


 瞬間、俺はレイカを斬り裂いた。


 ………


 ……


 …


 はずだった。


「は?これ避けるのずるいってぇーー!降参だ。降参。」


「ふぅ、危なかったです。一歩も動かず勝とうと思ったんですけど、動いちゃいました。」


「うわ、うっぜ笑」


 戦闘が終わり、俺たちが周りを見ると、そこはもう訓練所とはいえないものになっていた…


「アルスさん!レイカさん!やり過ぎです!途中からみんな避難してましたよ!」


「それは、申し訳ございません。先生。」


「訓練所もこんなにしてしまって…どうするんですか?」


「先生…なんのことですか?周りを見てください。まるで新築のようですよ?」


 ちょっと、俺と先生が話している間に、どうやったか知らないが、レイカが直してた。


「え、あれ?じゃ、じゃあー次の試合行きましょうか…」


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「アルスとレイカさん。お疲れ様。凄すぎて、僕にはさっぱりだったよ…」


「ノア、なんで、アルス様には魔力がないことを教えてくれなかったんですか?」


「いや、別に。自分の魔力の事情を知って欲しくない人もいるだろうし。アルスとレイカさんが戦うことになるなんて、思わなかったからさ…」


「俺は気にしないよ、ノア。」


(やっべ、さっきレイカに対して口滑ったけど、「なんで、魔眼のことを知っているようなこと言ってたんだ?」って突っ込まれたら、どう言い訳しよう…本来、こいつらしか知らないはずだし…)

 ※「あれ?彼氏に聞いてなかった?」の部分


「それに、僕はレイカさんが勝つって信じてたしね。」


「ノア…。トゥンク」


(キッツ、この雰囲気…離れよ…)


「アルス様、お疲れ様です。」


「おぅ、リリア。」


 後は、残りの試合を観戦した。


 印象に残ったものといえば、アイシャとアリス試合だ。


 序盤から魔法の撃ち合い、流石魔法の名門の出だけあって、アリスが有利に進めていたように見えた。しかし、アイシャの王族特有の対魔力から、近接戦に持ち込まれ、そのままアイシャの勝利で終わった。


(多分、俺が負けることはないだろうなぁ。)


 その後は、全員分の試合が行われ、その場で解散となった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 生まれて初めてのちゃんとした(?)戦闘描写をしてみました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る