第13話
入学式が始まる。
「(なぁ、ノア。俺が寝そうになったら起こしてくれ。)」
「(あはは、わかったよ。)」
と、コソコソと話す。
俺はちょくちょく起こされながらも、式は順調に進んで言った。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんにはこの学院でも多くのことを学んで頂きたいと思います。我が学院は長い歴史があり、優秀な人材も多く輩出しております。つまり!、………となり、………ここで少し、私のお話でも………」
(長すぎる…、プログラムのくせに俺の時間を奪いやがって。)
「学院長!話が長いです。誰も聞いてないのでさっさと壇を降りてください。かれこれ50分以上話をしてますよね。もっと簡潔にまとめられないんですか?低脳が。」
「(ちょ、ちょっとアルス!)」
「なんだね!君は!?」
俺の発言に、一部の教職員や生徒たちは何か話しているが。ほとんどは集中力が切れてぼーとっしていたのか俺の発言で意識が戻ってきたばっかりだ。
「え、えーと。以上、学院長のお話でした。」
と、進行が進めてくれる。
「い、いやまだ話は…くっ。」
俺は学院長を鼻で笑ってから席に座った。
「え、えーそれでは続いて、在校生代表エリカ・フォン・オルレアン」
(俺の姉だ…)
「皆様、初めまして。私が在校生代表そして現生徒会長のエリカ・フォン・オルレアンと申します。先程は、私の弟が失礼致しました。改めまして、ご入学おめでとうございます。友と高め合い研鑽を積んでください。ここには、優秀な先生方、立派な施設が沢山ございます。皆様のご活躍をご期待しております。短いですが、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。」
パチパチパチ
(短いかもしれないが、学院長の話が長すぎたし、あれくらいでちょうどいい。)
「それでは、最後に新入生代表Aクラス首席アイシャ・フォン・ゼルナー」
この国、ゼルナー王国第一王女アイシャ・フォン・ゼルナー。高水準の剣術、中級までなら扱えるという魔法の技量、そして王族の血筋特有の高い対魔力。その諸々で今は首席の位置にいる。間違いなく、俺やレイカの方が強いだろうけど…
俺?俺の序列は魔法が使えないってだけで、序列が下げられている。レイカの方は知らん。
「皆様、私は今年のAクラス首席アイシャ・フォン・ゼルナーと申します。私が代表として選ばれたこと大変嬉しく思います。今年の私の学年は優秀な学生が沢山居りますので首席の座から引きづり落とされないよう研鑽を積んでいこうと思います。皆さんは私を超えるつもりで頑張ってください。以上で挨拶を終わりにしたいと思います。」
アイシャは王族のヒロイン。ゲームでは三年間しっかり首席を取り続ける。しかし、試験ではノアに敗れ、戦闘面ではレイカに敗れるが総合して首席という結果だ。そのことに対し、何か苦悩している的なキャラだった。
――新入生退場
「行くよ、アルス。」
「おう、センキュ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
教室に戻れば、
「「「アルスくん、ありがとう!!」」」
「?、え、何、どうした?」
「学院長の長い話ぶったぎってくれただろぉー」
「あの学院長、話長くて3時間くらい話すこともあるらしいよ。」
「俺なんか、お尻が痛くて痛くて。」
あーなるほど。その件か。
「まぁ、お役にたてたなら良かったよ。先生、そろそろ戻ってくるし席つこうぜー。」
「「「はーい」」」
(みんな、俺を英雄みたいに見てくる。よほど、こたえたんだろうなぁ。)
ちなみに、いつの間にか俺の腰にはリリアがくっついている。
(いつの間に、俺の後ろを取っていたんだ…)
俺でもって気づくことが出来なかったとはな。
――ガラガラガラ
「あ、みんな席ついてるわね。アイシャさん、スピーチいい感じでしたよ。」
先生が教卓に着く。
「えーと、今日はこれでおしまいです。明日から色々決めたりしましょう。自己紹介も明日でいいよね?…解散!」
よーし、男子寮に帰るか。
「ノア、一緒に帰るか?」
「あーごめん。レイカさんと途中まで帰るんだ。」
「ふぅー、お熱いねぇ。」
「そんなんじゃないし…それに、そちらさんの方がお熱いだろ。」
俺の腕に引っ付いてる…
「ノア様、私はリリア・フォン・アルデンヌと申します。これから、よろしくお願いしますね。でも、アルス様のことは渡しませんから!」
「?、あ、あぁ、こちらこそよろし…」
ノアは誰かさんに疾風のごとく連れ去られた。
(あれが、勇者の実力…か。)
「リリア、俺達も帰ろうか?」
「はい!」
そして、僕達も学校を出る。男子寮と女子寮は結構離れているので、途中で別れることになる。
「…提案なんですけど、今日の夜、一緒に過ごせませんか?」
「あーごめんね。初日でバタバタしてるし、また今度でいいかな?その代わり、女子寮まで送っていくよ。」
(今日は、教室の可愛い娘を一人部屋に連れ込みたいしね。)
「分かりました…アルス様の迷惑にはなりたくないですから…」
「愛してるよ、リリア。」
そう言って、俺はリリアの唇に口づけする。
「ふふん」
(これやっときゃだいたいなんとかなる。)
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アルスのリリアに対する一人称は、この1,2年で、私から俺に変わっています。
ちなみに、リリアはまだ処女です。
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