第12話

 馬車に揺られること数十分。


「おぉ、でかいなぁ」


 ずっと、住んでた街に学院は存在するので、どんな見た目かは知っているが、これから通うことになるのだと思うとテンションは上がる。


 俺は推薦枠で学院に通う。魔法なんか使えないが戦闘力の面を評価された。よく、騎士とか冒険者とかボコボコにしてたしね。


 学院の門をくぐると…どっかの貴族が平民を虐めている姿が目に入る。


(あぁ、よくあるやつね。)


「おい、平民の分際でよォ。うっぜぇんだよ。なんでお前が俺より上のクラスなんだァ」


「ひっ、ごめんなさい、ごめんなさい。」


 俺は無視した。ノアが、助けるだろう。


 教室に入り、黒板に貼り付けてある席順の場所の席に着く。席の順番は、名前順でも序列順でもない。完全に先生の独断だ。ちなみに俺は1番後ろの真ん中の席だ。


 原作キャラはちゃんといるかなぁーっと。

 ノア…レイカ…ヒロイン諸々…リリア…


(あれ、なんでリリアいるんだ?)


 あぁー、俺と同じクラスが良くて頑張るみたいなこと言ってたなぁ。忘れてた。


(学院でも相手しなきゃいけねぇの、めんど)


 しばらく、席で待っていれば、ポツポツ人が入ってくる。


 ノアもレイカと共に教室に入ってきた。ノアとレイカは席は離れているらしく、教室内で別れた。それにより、ノアはぼっちだ。レイカは休み時間とかも友達に囲まれるだろうから、その時間もぼっちになることだろう。


「やぁ、ノアくん!俺はアルス・フォン・オルレアン。アルスと呼んでくれ。」


「あ、あぁ、こんにちは。僕はノア、よろしく。ノアと呼んでくれ。って、僕のこと知っているだね?」


「あぁ、ノア。知ってるも何もそりゃ有名だからね。死神ノア…だっけ?」


「なんだ、その不名誉な二つ名は?」


 関わった事件の犯人を全て房送りにしているから、らしい。


「僕が房送りにするんじゃなくて、房に送り付けてるのはレイカさんだけどね。」


「おぉー、怖い、怖い。そうだ、それなら一回離れてみるのはd…」


 瞬間、身体中の鳥肌が立ち上がる。後方から冷たい視線を向けられている。


「ヤ、ヤッパナンデモナイヨ……」


(ふぅー、やばかった…これには俺もため息が止まらない。)


 しばらく、ノアと会話を続けていると…


 後ろの扉が勢い良く開く。


「アルスしゃまーーーー!」


 ドンッ


「リ、リリア…久しぶり、元気そうだね。」


「ギュ〜、えへへ。」


 リリアは俺の膝の上に乗り、前からギュ〜っと抱きしめ、顔を俺の胸に埋めてくる。


「リリアー、みんなの前だよ?」


(おいおい、まじかよ…。久しぶりといっても一ヶ月程度だぞ。その程度で、こんなになるのか…)


 スリスリ、スリスリ


「ノア、こいつは俺の婚約者のリリアだ。安心してくれ、普段はまともだ。多分…」


「お、おう(引)」


 その時、前方の扉が開く。


「みなさーん。初めまして。私は、このクラスの担任ユウリ先生でーす。って、そこ!えーと、アルスさんとリリアさんイチャイチャしてないで離れなさい!」


 初日から大変だなぁ。


「リリア、後で遊んであげるから、今は先生のお話聞こうか?」


そう言って、俺はこっそりリリアの太ももに指を滑らせる。


「は、はい…先生、失礼しました…」


リリアは恥ずかしそうに、渋々、自分の席に戻って行った。


「それでは、皆さん。改めまして、Aクラス担任のユウリ先生でーす!これからよろしくね。もっと色々と話したいところなんですけど…今から入学式に向かいます!会場にレッツゴー!」


(はぁ、校長やら生徒の代表らの長い話を聞くことになるのか…)


「はぁ…」


ということで、俺たちは先生の先導で、会場に向かうことにした。

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