第10話
【side ノア】
前回の連続殺人事件を解決した僕は、またもや依頼ということで、助手のレイカさんと共に他国に遠征に来ている。
「わぁー、ここが水の都ルッタ!綺麗ですね!!」
「えぇ、仕事でなければ、ゆっくり観光でもしていきたいところです。」
「それは、残念です…」
「それじゃあ、早く事件を解決して観光してから帰りましょうか。」
「はい!頑張りましょう!」
「とりあえず、宿を取ってから、荷物は置いて、依頼主の元へ向かいましょう。」
そんな感じで、僕達は、街の人から評判の良い宿を聞いて、そこでチェックインした。
「いらっしゃい、カップルかな?一部屋でいいね?」
「いえ、そんな関係ではなくて、ただの仕事仲間みたいなものですよ。」
「(ただの…ただの…仕事仲間…)」
「あら、そうなのかい?お似合いだと思うんだけどねぇ。それじゃあ、二部屋だね。これが鍵、無くさないでね。」
「はい、ありがとうございます。」
「(お嬢ちゃん、ファイトだよ!)」
「は、はい。ありがとうございます。」
それぞれの部屋に荷物を置いた僕達は、依頼主の元へ向かうことにした。
「失礼します。今回、依頼で参りました。探偵のノアと申します。」
「助手のレイカ・キリギリです。」
「これは、これは大変お待ちしておりました。今回の事件の依頼主、ジェームズと申します。」
とても、優しそうな人だな。
「これはどうも丁寧に。事前に聞いたものですと、大切な宝物が消えてしまったということですが…」
「えぇ、えぇ、そうなんです。私の唯一無二の大切な宝物【愛しの猫ちゃん】がいなくなってしまったんです!!」
「ね、猫ちゃん…」
(宝物って猫のことだったんだ…)
「えーと、つまりは行方不明になってしまった猫の捜索という訳ですね。」
「猫ちゃんです。」
なんだそのこだわり。
「は、はい。行方不明になってしまった猫ちゃんの捜索という訳ですね?」
「はい、その通りです。よろしくお願いします。」
僕達は、その猫の特徴を教えてもらい外に出た。
「猫の捜索ならすぐに終わることでしょう。」
「はい!早く猫ちゃんを見つけましょう!」
(猫って死に際になると、姿を見せないってよく聞くよな。無事だといいんだけど…)
「猫にも少なくも魔力はあります。ジェームズさんから貰った猫の玩具に残っている魔力と同じものを追いかけます。」
――地下・下水道
僕達が猫の魔力を追いかけていけば、地下・下水道に辿り着いた。
「もうそろそろだと思います。ここに来る前に想定していたものより、とても早く終わりますよ。」
「さすが、ノアですね。」
――見つけた。
けど、
(猫にしては魔力多いな。)
「きゃー、いましたよ。猫ちゃん!」
レイカさんが猫を抱き抱えようとしている。
「猫ちゃん、かわいー「離れて、レイカさん!!」
魔力が膨れ上がる…そこに立っていたのはゴリゴリマッチョのネコ科の魔物だった…
「…くない!、可愛くない…」
「魔獣化していますね。仕方ありません。被害が出る前に倒しましょう。」
「うー、ごめんね。」
魔物は鉤爪を放ってくる。レイカさんはそれをバックステップで避け、返しに相手の首を切り落とした。
「お疲れ様でした。こうなってしまっては仕方ありませんよ。せめて、遺品はジェームズさんに送りましょう。」
「はい…」
ジェームズさんの元へ向かった僕達は、今回のことを報告した。
「そうでしたか。それは、仕方ありません。せめて、楽に殺してくれてありがとう。お嬢さん。」
「いえ、助けることが出来なくて申し訳ございません。」
「残念ですが…気にしないで下さい。これが、依頼料です。受け取ってください。私はこれから、あの子の分まで生きるつもりです。皆さんのさらなるご活躍、期待しております。」
依頼料を受け取った僕達は、宿へと帰ることにした。大切な宝物を失って、お金まで取るのは申し訳ないから要らないと言ったが、依頼成功は成功だと言うので、有難く頂いた。
(自分にとっての大切なものが急に無くなってしまう。どれだけ悲しいことなんだろうか…)
僕にとっての宝物ってなんだろう。失いたくないな…
「レイカさん。今日の晩ご飯は豪華にしましょう!そして、明日は、観光しましょう!」
「はい…そうですね!せっかく遠くまで来たんだから楽しみましょう!」
――3日後
気分転換が出来た僕達は、今日、この街を後にする。
「色々、ありましたけど楽しかったです。次は仕事とか関係なく来たいですね。」
「そうですね。でも、僕もそろそろ学院だから、レイカさんと過ごす時間は仕事の時だけになっちゃいますね。」
「え!そうでした…。いや、待ってください。私も通います。ノア、学院に推薦してください!探偵の仕事で知り合った人も何人かいますよね!」
「それって、コネじゃ…。まぁ、分かったよ…。身分の証明だけ何とかしてみるよ。」
そこで、僕は気づく。
「あれ?御者さん!来た時と道が違う気がするんですけど、どうかしましたか?」
「あぁー、申し訳ございません。説明を忘れておりました。えーとですね。2日前にいつも通る道の崖で事故があったらしくてですね。道が削れているんですよ。それで、安全第一で遠回りをして向かっております。」
「あー、そうなんですね。」
「それも、事故にあったのが、貴族の若い方で、まだまだこれからだっていうのに、悲しいですよね。」
事故か…
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次話から本編を書き始めようかなと思っています。
1,2週間忙しくなるので、更新を遅くします。
今、8話ストックがあるので2日に一本出します。
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