第8話
翌朝、激しい行為をした俺の下半身には、昨日の感触がまだ残っていた。身体の奥までくる甘いだるさ。
きっもい描写を心の中で終えた俺は、身支度をして部屋を出た。
「昨晩は、泊めていただき、誠にありがとうございました。」
「いえいえ、これくらいのことは礼には及びませんよ。して、昨晩は楽しめましたかな?」
「えぇ、とても。」
それにしても、あのメイド。行為中に時々、誰かに対して謝っていたから、多分だが彼氏か夫がいたな。それを分かってて、寄越したんならこのおっさん最低だな。同じ人として恥ずかしいぜ。
「お父様、アルス様、なんのお話をしているのですか?」
「「いや、なんでも」」
そんな、やり取りもありながら俺は公爵家を後にした。
(あっ、やべ。あのメイドあの部屋に放置したまんまだ。伝え忘れた。まぁ、大丈夫か。)
別に、公爵があてがったわけだし、バレても別に問題はないだろう。まぁ、リリアにはバレないことを祈ろう。
(さて、どうやってリリアの婚約者を殺そうかな…。)
俺はとりあえず、自分の屋敷へと帰宅した。
「ただいま、戻りました。」
帰宅をすれば、お父様に話しかけられた。
「おぉ、アルス。昨晩は、友人の屋敷に泊まったんだってね。ところで、婚約者の件はどうなったんだい?」
「えぇ、お父様。それについては心配いりませんよ。一週間以内に解決します。」
「おぉ、それは良かった。良い方が見つかったんだね。」
「それでは、自室に戻ります。」
自室に戻った俺は、すぐに作戦を考えた。結論からいえば、事故死に見せかけて殺すことにした。馬車に何らかの細工をし、崖から転倒。一瞬でお陀仏だ。
簡単に出来る俺の手による殺人も考えたがそれはダメだ。
リリアには、「婚約者はぽっくり事故で死んでしまった。」そんな、何もすることが出来ない。誰にも当たることが出来ない。そんな、喪失感を味わって欲しいからな。
事件なんてことになれば、リリアは犯人に怒りをぶつけられる。そうではなく、リリアには無力感を感じてもらう。
とりあえず、方向性は固まった。今日は、リラックスでもして、明日以降に事を起こすことにしよう。
今日は一日中昼寝をして、両親と共に食事をして(姉様は学院のためいない)、早めに寝た。
たまには、何もしない一日もいいな。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
翌日。
――コンコンコン
朝からメイドが部屋に来た。
「入れ。」
「失礼します。おはようございます。今朝、アルデンヌ公爵家からお手紙が届いておりました。どうぞ、ご確認ください。……これで私は失礼致します。」
中身を見ると、
(茶会の招待状?)
貴族特有の長い挨拶の後に本題が書いてある。
簡単に要約すると、
「3日後に、リリアとリリアの婚約者、そして俺で、少し話をしないかということか。」
俺へのお礼をしたいらしい。
(決めた。)
3日後に茶会ならば、明日か明後日に殺そう。
十中八九、お出かけになるはずだ。愛しの婚約者への品を探しにな。あとはもう、姉様の魔道具を馬車に仕掛けて待機するだけだ。
プレゼントを買った帰り道、それを見ながら、大好きな人のことを思いながら死ぬ。なんて、幸せなんだろうか。
招待に応じるという旨を手紙に書き、近くにいたメイドに渡した。
「楽しみだな。」
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