第4話

【side ノア】

 最近、この街で連続殺人事件が起きている。

 現状、被害者女性が5名。外傷は、胸の位置に直径5mmの穴だけだという。死亡時間は深夜帯だと考えられる。


「調査の時間だよ、レイカさん。」


「はい」


 彼女は助手のレイカさん。戦闘力がものすごく高いし、魔力量が目に見えて多い。前に、それだけ強いんだから冒険者とか騎士団とかの方が稼げるよって言ったんだけど。


「そんなことしたら、ノアとの時間が減っちゃうじゃないですか!」


 って、反対された。僕ってそんなに1人じゃ心配かなぁ。以前は一人暮らしだったんだけどな。

 助手としてずっといてくれるのは助かる。僕には勿体ないくらいの助手だ。


 レイカさんは、こっちの国じゃ珍しい黒髪黒眼で、名前も少し変わってる。身長は平均より少し低いくらい。それでも、彼女が言うには彼女の国では平均より高いらしい。そして、スタイルは良くて美人だ。あと巨乳。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 僕は今、殺人現場に向かっている。

 夜、雨が降っていたのか、地面は少し湿っている。


「なんで、連続殺人なんで起こしたのでしょうか?ただの快楽殺人でしょうか。」


「それはまだ見て見ないと分からないけど…。快楽殺人ではないと考えると、今回はこの特殊な殺害方法に理由があると思う。」


「ノアならどんな事件でもすぐに解決できると思います!私も精一杯サポートしますね!」


 そうやって、話しながら歩いていると、1箇所目の殺害現場に到着した。


「調査はどんな感じでしょうか?」


「おぉ、ノア様!お待ちしておりました。調査の方なんですが、事前にお送りしたものから進展はないですね。」


「そうですか、ありがとうございます。僕も見させて貰いますね。」


 と言って、死体を見させてもらう。現場自体は出来るだけ新鮮(?)なものにするため、結界によって、死体が発見され報告されたあとの当時のままの現場が保存されている。


 死因だと考えられる胸の穴。そこから、魔力が流れ出ている。魔法によって、胸に穴を開けられたんだろうな。これだけ小さいと魔力操作は繊細だ。普段から、使い慣れているんだろうな。


「どうですか、ノア?」


「相手は魔力の扱いが上手い。普段から使い慣れている冒険者辺りが怪しいかもしれない。動機は、何かしらの魔法の行使または魔力量の増加が目的でしょう。」


「魔力量の増加?」


「はい、魔力量は才能によるものであり、増やせない。これが常識ですが、質が自分と似たような魔力であれば、殺した時に魔力を奪うことができます。その時に、総魔力量も増加します。」


「なるほどです。じゃあ、この国で殺人事件が多いのもそれが原因ですか?」


「いえ、ほとんどの殺人事件は激情や報復、口封じなどです。魔力量が増えることが知っていても、魔力の質を見れる人なんて、僕以外じゃほとんどいないですから。それでは、残り4箇所の現場も調査に行きます。」


 次の殺人現場に向かうのだが、現場と現場の感覚が大きくとても時間がかかってしまう。


「はぁ、現場と現場の移動が1番時間がかかるな。」


「私がおぶりましょうか?そしたら、すぐに着きますよ。」


 魅力的な提案だ。移動が早くなれば、調査もすぐに終わるだろう。僕は、少し恥ずかしいが、レイカさんに軽く後ろから抱きついた。


「ふぁっ」


「よろしくお願いします。レイカさん。」


「も、もっと強くていいですよ。お、落ちたら危ないですからね。」


 そのあとは、移動が早くなったおかげで調査はスムーズに進んだ。


 そして、最後の現場。


「レイカさん、大丈夫ですか?」


 レイカさんの顔が赤い。さすがのレイカさんでも僕をおぶって何度も移動は大変だったのかな。


「ごめんね。」


「だ、大丈夫です」


 最後の死体だ。ここで、僕は違和感を感じた。


「あれ、魔力の流れが見えない…」


 被害者自体の魔力は見える。死体の状況も他の被害者のものと同じだ。死体の状況が同じということは、魔法無しでこの状況にしたということだ。一体どうやって。


「今回の犯人は、魔法だけでなく、魔法以外の技術も卓越した技術を持っているかもしれません。気を引き締めていきましょう。」


「はい、任せてください!」


 あるいは、この死体だけ別の犯人がいる。何故そんなことをしたのか。それが見えてこない。不安は残るが今はこの殺人事件に集中しよう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る