第2話

 俺は一度やると決めたらやりきるまで貫き通す。中途半端では終われない。


 ゲーム本編が始まるのは15歳になり、学院に通い始めるようになってからだ。

 発展途上の主人公を潰しても面白くない。完成されたあいつを潰したい。


 あのゲームはバットエンドらしいバットエンドがなかった。主人公もヒロインも死なないなんて面白くない。俺が、殺人でも、NTRでも絶望的なバットエンドを作ってみせる。所詮、ゲームのキャラだ。何してもいいだろう。


「よし、情報整理終了っと。」


 本編開始まで3年程度ある。やれることをしよう。


「あっ、そうだ。異世界定番のステータスとかあるのかな。」


「ステータスオープン!」


 ………


 ……


 …


 何も起きなかった。恥ずかしい。


 コンコン。


「アルス様、食事の時間でございます。」


「わ、わかった。今、行く。」


 俺はさっきの恥ずかしいのを聞かれてないか不安になりながら、呼びに来たメイドと一緒に食堂に向かった。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 食堂に着けば、両親と姉が既に待っていた。

 この家にいる俺の家族はこれで全員だ。少なく感じるが父が側室をとっていないんだから仕方ない。


「遅れてしまい申し訳ございません。」


「アルス、おそーい。」


「いや、全然大丈夫だよ。」


 全員美形だなーと思いながら俺は席に着いた。

 色々と会話しながら食事をした。


「ねぇ、お父様、お母様。私、今日火属性の上級魔法が使えるようになったのよ!」


「えっ、すごいじゃないか。やはり、エリカは天才だな!」


「ええ、ホントに凄いですわね!」


「姉様、流石です。」


 ちなみに、俺に魔法は使えない。魔力が全く無いからだ。貴族は魔力が多く、平民は少ないのが一般的だが、俺には全くなかった。俺は、密かにこの天才の姉が生まれた時に、俺の分も全て持って行ってしまったのではないかと思っている。最初は少し残念に思ったが、俺の目標はノアを潰すことだ。魔力を見てくるあいつを相手にするのだから魔力なんて無くて好都合だ。


 それにしても、魔力の無い俺にも優しくしてくれる家の者達はホントに優しいな。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 食事のあとは自分の部屋に戻った。


 姉は現在14歳で来年学院に通うことになる。俺の姉は天才だ。学院入学前に上級魔法を使えるのはほんのひと握りだけらしい。これから、どんどん上達していくことだろう。それに、1人で魔道具なんかも作れるらしい。時々、試作品をプレゼントしてくれる。


「母親と姉様、身体エロかったな。」


 そう言って俺は眠りに着いた。

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