第9話 新しい日常

鬼灯そう



次の日、昨日と同じように俺は空き教室に向かった。昨日と同じ場所に伊弦は座っていた。


「あ、おはよ、う…?」


おはようの一言もまともに言えないのかと自分に呆れながら挨拶をする。


「おはよ、そうくん」


そうくん……、呼ばれ慣れていない名前で呼ばれると少しドキッとするような不思議な感覚がする。少しその場で立ち止まったあと、昨日のことを謝りに来たことを思い出した。


「あの、さ、?」


伊弦の目を見る。


「なぁに?」


優しい目だ…。


「昨日…、ごめn……」


「いいよ、謝らないで。そういうの嫌い。」


えっ…、

俺はびっくりした。さっきまであんなに優しい目をしていたのに。暗闇のような、吸い込まれてしまいそうなくらいに真っ暗な目になっていた。


きらい、きらい、嫌い、きらい、嫌い


俺のことが嫌い…?やっと見つけたと思ったのに。俺は失望した。




すると伊弦が驚いたような顔をしてこう言った。


「あっ、違…、そうくんのこと、じゃなくて、その、あの、、ごめん。」




「ごめん、は嫌いなんでしょ?俺に言ったらお前も同じじゃん」



「えへへっ、そっかー。そーだねぇ」


伊弦が笑いながらいった。俺も伊弦に笑い返す。








それからなんとなく俺は教室の隅にある椅子に座って小説を読み始めた。それをみた伊弦が絵を描くのを再開する。

そんな感じで気づけば、俺は毎日を伊弦と一緒に過ごすようになっていた。






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ゼロのエタニティ いつる @ituru

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