第3話 孤独の少年

鬼灯そう


何この人。

せっかく一人になれると思って張り切って小説まで持ってきたというのに。絵の具で散乱した床、汚れた制服。気持ち悪いな。髪の毛も伸びっぱなしだし。


「ここにいていいよ。」


なぜ僕にそう言ったのか理解できない。

僕は独りになりたかった。


「嫌だ。俺は一人になりたいんだよ、邪魔すんな。」


「どうして?君は一人になりたいんじゃないでしょ?」


「どういうことだよ?」


「君は誰かに救われたい。」


救われたい?なんだよそれ。いらいらする。

小説を持つ手に力が入っていた。それに気づいた直後、俺は衝動的に小説を投げつけていた。

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