第3話エロゲ部

 春。新学期。

「よう正隆。同じクラスだったな」

「腐れ縁もここまで来ると大概だな」

「なぁなんの部活入る? 俺サッカー部に入ろうと思ってるんだけど」

「俺はもうそういうの良いかな。中学でたくさんやったし。帰宅部でゆるりとやるさ」

「え~つまんねぇの。なんか新しい事やった方が良いと思うぜ。せっかく進学校に入ったんだし、青春を楽しもうぜ」

「進学校に入ったから勉強しないといけないんだろ」

「おっと始業式が始まる。行こうぜ」

「あぁ」


 始業式終わり。

「なんだあの女」

「あの女って誰だよ」

「ほらグラウンドでバット振ってるやつだよ」

「ああ、あいつ桜田花音って奴だよ。なんか変人て事で有名らしいぜ。同中の奴から聞いたんだけど、とにかくじっとしてられないらしくて発言はおかしいわ、急に発狂するわで周りからは避けられてたらしい。その癖勉強は出来て学年で1、2位を争うくらいだったらしいな。まぁ関わらない方が良いぜ。見た目は可愛いけど人格がアレらしいから勿体ないよほんとに」

「ふーん、てかお前もう他の学校の奴と話たのかよ」

「おいおい、今時入学前にSNSでコネ作っとくのが当たり前な時代だぜ。お前のデジタル下手もこれを機に直しといた方が良いんじゃないの」

「るっせ。ネットとか苦手なんだよ」


 数日後の放課後。

「おい正隆。放課後だぞ」

「ん、ああ。そうだな」

「愛してる親友に何か掛ける言葉はないのか?」

「どうした急に」

「だって正隆ったら俺の事全然気に掛けてくれないじゃん!休憩時間とか放課後だって話しかけてくれないし、ほんとあんたってつれない男よね!」

「いやお前いつもサッカー部の奴らとつるんでるじゃん。そして何故急に女口調。あと放課後はお前サッカー部な」

「おい龍成、グラウンド行くぞ!」

「待ってくれ、今修羅場なんだ!親友との友情が試されてる時なんだ。俺は正隆を、口説き落とす!」

「馬鹿言ってないで行くぞ」

「あ、やめて引っ張らないで。正隆~!俺はお前の事を待ってるからな~!」

「なんだあいつは、ったく。取り敢えず帰るか」


 帰り道。学校の廊下。

「やべ。あのノート出しっぱだった」


 放課後の教室。

「げ。誰かいるし。しかもあれ俺のノート読んでやがる!」

 ・・・・・・。

「あのーすいません?そこ俺の机なんですけど。しかもそれ俺のノートですよね」

 ・・・・・・。

「聞こえてますか。返して貰いますよ」

「あっ」

「げふっ」

 正券突きを食らう。

「なんでみぞおち・・・・・・」

 仕方ないから待つ事にした。


 夕暮れの教室。

「おー!これだ!」

「ようやく読み終わりました?」

「うわぁ急に話しかけないでよびっくりした!」

「最初に話しかけてたんだけど・・・・・・」

「てか誰きみ?私の知り合い?」

「いや初対面。てかそのノートいい加減返してくんない?」

「おぉ!という事はこの小説は君が書いたものなんだね!」

「小説、っていうかまぁ・・・・・・ただの落書きみたいなもんすよ」

「いやいやご謙遜めされるな!これこそ私の求めていたもの!まさかこんな所に逸材が隠されていたとは!灯台元暮らしとはまさにこの事!」

「・・・・・・テンション高いっすね」

「なぁ君!君の名前はなんて言うんだい!」

「・・・・・・牧野正隆っすけど」

「牧野正隆君!一つ提案があるんだが!」


「私と一緒にエロゲを作らないか!」


 エロゲ部、始動。

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ノイズ 奔太 @ponta96

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