第2話 この世界と運営について

「よしっ! まずは部屋の片づけからだな」


 俺の名前は只野 巧(ただの たくみ)ひょんなことから神の補佐官として

異世界ターヘナルを管理・運営していくことになったのだが…


「お~すごいのだ! すごいのだ! 部屋のものがなくなっていくこれで素足でも歩けるぞ!

おぬしは神か! 神なのかっ!! 」


 このはしゃいでいる幼女は異世界ターヘナルの神にして俺が仕えることになった神ムーノウ。

見た目は美しく後光がさしているが充電が切れたバッテリーのように点滅している。

本当にこんな神に仕えて大丈夫か? とすでに後悔しているが、俺も男だ一度引き受けた仕事は最後まで頑張るはずだ…


 あらかた掃除が終わったところで本題だ。


「ムーノウ、地上に降りることは可能なのか? 」


 まずこの世界の現状を把握しないといけない。

ムーノウから簡単な説明は受けたがこの世界には五つの種族があり、魔族に滅ぼされそうになって大変だということしか知らない。


「大丈夫じゃ! 本当は神が世界に干渉してはいけないといわれているが…別に問題ないじゃろ」


本当に大丈夫か? この神様は…と思いつつ異世界という漫画やゲームのような世界に

いけるわくわくの方が勝ってしまい地上におもむくことになった。


「それでどうやって地上に行くんだ? 」


ムーノウに尋ねると


「まずこの地図を持つのじゃ! そしてな行きたいところに指をさして『テレポート』と唱えるのじゃ」


 そんな簡単でいいのかよと思いつつ言われた通りにやってみることにした。

とりあえず人間、ドワーフ、エルフが住んでいる真ん中の大陸に行ってみることにしよう。初めて降り立つ異世界、特にエルフに会えるのは男の夢だろう。ドワーフも気になる。頼めば剣とか装備作ってくれないだろうか。

 そんな期待で胸を膨らめせつつ真ん中の大陸に指を差し『テレポート』と唱えた…


 ん…ん? 何も起こらない。


ムーノウの方を見ると焦ったようになんでじゃ! なんでじゃ! と騒いでいる。

どうせ呪文や使い方を間違ったのだろうと思っていると、


「あっ!! ぽ…ポイント…ポイントがない…大変なのじゃ! 大変なのじゃ!」


ポイント? なんのことだ? 慌てふためくムーノウをいったん落ち着かせて話を聞くと。


ムーノウが言うには。

 神には【神ポイント】というものがありそれを使用することで自分を収めている世界に干渉することができるらしい。

今回その神ポイントが足りなくて世界に干渉できないと言う話だった。

 世界に干渉するのにそんなにポイントが必要なのか…と思いムーノウに


「で、あとどれくらいで地上に行けるんだ? 」


と聞いてみた。


ムーノウはバツが悪そうな顔をして


「…ぃ」


いつもの元気がなく小さな声で聞こえない。再び聞き直す


「すまん聞き取れなかった。なんて言ったんだ? 」


「…ない…だからいけないって言ってるのじゃ! 」


どういうことだ!? 涙ぐむムーノウをいったん落ち着かせて話を聞いてみると


【神ポイント】の仕組みは


1.神ポイントを使用することで世界に干渉することができる。

2.神ポイントは神が世界に与えた影響によって増減する。

3.神を信仰するもの一人につき毎日一ポイントもらえる。


 だそうだ。『テレポート』には五十ポイントを使うらしい。


「で、今何ポイント余ってるんだ? 」とムーノウに聞いてみると


ムーノウは自信満々に「三ポイントなのじゃ! 」と答えた。


 さらに今世界で神ムーノウを信仰しているものが六人なのでポイントすら入らないジリ貧生活らしい。この世界の神なのに信者が六人しかいないなんてとんでもない神だ。逆にかわいそうにもなってきた。

 まぁとりあえずポイントをどこに使ったかとか、終わってしまったことを問い詰めても仕方がない。今できることを考えるんだ。気持ちを切り替えた俺はムーノウに尋ねた。

 

「とりあえず現状は分かったが、三ポイントで何ができるんだ? 」


「三ポイントなら一人とお話しはできるはずじゃ」


ムーノウは自信満々に答えた。なんでそこまで誇らしげに言えるんだ…


まぁいい、とりあえず本題だ。神ポイントの仕組みからして困っている人を助けて世界に良い影響を与えつつ信者も増やせれば一石二鳥だ。でも困ってる人をどうやって見つければいいんだと頭を抱えているその時


(誰でもいい神でもいいから助けて! )


地図の一点が光りそこから声が聞こえた。


「お~我に助けを求めるとはひさしぃ…いやなかなかに見る目があるやつじゃな! おいたくみ助けるぞ! 」


今久しぶりとか言いかけてなかったか? そんな不安もあるが丁度良いタイミングだ。さぁ初仕事と行きますか!

只野 巧の初めての仕事が始まる。

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