神様の代わりに世界を運営することになりました...
お猿の王様
第1話 世界を管理する仕事を引き受けました!
「今日もなんもなかったなー」
暗い部屋の中パソコンの前でため息を吐くのが俺【只野 巧】(ただの たくみ)
三年前に病気をしてしまい二十五歳にもなって無職でニートをやっている。
ありがたいことに両親が経済的にも安定している。
家の家事も全部やっているが、そろそろ自立しないとと焦っている…と思う。
そこで在宅でできる仕事を探しているのだが…
これがなかなか見つからない、このまえも三件申し込んだが良い返事がこなかった。いっそyoutuberにでもなろうか。
ポコッ
そんなことを考えていたらメッセージが来た。
まぁ、ゲーム仲間からの誘いだろと思いつつメッセージを開く。
【ムーノウ】知らない名前だ。なになに…
[仕事が欲しい方はこちらをクリック]
こんなあからさまな詐欺メール誰が引っかかるか。
そう思いつつ後がない俺は面白半分に押してみた。
クリックした瞬間に視界がゆがみ始めた。
「な…なんだ! 」
驚く間もなく体が浮くような感覚に襲われた。
数秒後宙を漂うような感覚が続きその後地面にたたきつけられた。
いたたた…視界が晴れ目の前には…真っ白い部屋、真ん中に山? が見える。
「くっさ」
生乾きの布団といろんな食べ物が混ざったにおい、そのにおいに《
「やっときてくれたぁ」
目の前の山から声がした
恐る恐る近づいて見るとごみごみごみ、ごみの山だ。
そのごみの山から一人の女の子が飛び出してきた。
十歳くらいの可愛らしい女の子で水色の髪、金に輝く瞳、ぶかぶかの白い衣を羽織っている。
「我が名は、ムーノウ! 今日からお前は私の世界を管理する補佐をしてもらう! 」
何を言ってるんだ?混乱している俺をよそ眼にムーノウは話を続けた。
「実は我が管理する世界が少し変でな、いろいろ与えてるつもりなのだが。周りの神々からは馬鹿にされるし…とりあえず手伝ってほしいのだ! 」
神様? このちびが? というかここはどこだ? いろんな疑問があるがとりあえず落ち着いて状況確認だ。
「ちょっと待ってくれ、まずここはどこだ? さっきまで家にいたはずだが…」
ムーノウはそんなことかといった顔で
「ここはアスガルド 神々が住む世界だ! おぬしさっき仕事が欲しいと言っておっただろ? だから呼んだのだ! 」
神の世界? まるでゲームや漫画の世界じゃないかと驚いていると、ムーノウは俺の腕を掴みゴミ山の奥にある光る台まで引っ張っていった。
台の上には映像の地図があり見たところ5つの大陸が描かれている。
よく見ると真ん中の大陸は白、赤、緑が混ざった色をしており、
右上の大陸はオレンジ、そのほかの大陸は真っ黒になっている。
「このままだと世界が魔物に破壊されてしまうのじゃ! 」
ムーノウは焦った顔で俺の肩を揺さぶる。
「ちょっと待ってくれ、どういうことだ…俺は死んだのか? どうなったんだ? 」
まだ状況をを理解できない俺は混乱して目の前のムーノウに詰め寄った。
ムーノウは焦る俺を見ていったん深呼吸をし、その幼い見た目に反して
威厳のある声で俺に説明した。若干 《
「我はムーノウ、この世界【ターヘナル】を治める神じゃ。(台にある地図を指差しながら) そなたは我のほチャヵん…んんっ、補佐官というありがた~い役職として我の手助けをしてほしいのじゃ」
「それとそなたは生きている。ただ肉体ごとここに連れてくると元の世界に戻れないしかし、我のすばらし~い力で魂だけこちらに持ってきて新しい肉体に入れておるのじゃ」
一瞬かんだな、本当に神か? 《
どおりで体が元気だ、後遺症で痛んでいた体が治っているようだ。
なんなら前よりも体が軽い気までしてくる。
そんなことよりまだ大事なことを聞いてない。
「それで俺は帰れるのか? 家に…」
「当たり前じゃ! 我をなめるでない。そのために魂だけ持ってきたのじゃ! 毎日仕事をしたら元の世界に戻してやる。しかもそっちの世界で換算すると時給二千円じゃぞ。なかなかに良い仕事だろ。」
たしかにニートで時給二千円は破格だが神様? の割にはケチな気もする。
まぁあらかた状況は理解できたし、家に帰れると聞いてとりあえずは安心だ。
ただ実際どんな仕事なのか、この夢のような現実にまだ実感がわかないでいると、
ムーノウが先ほど地図の地図を見せながらこの世界について話してくれた。
この世界ターヘナルはざっと五つの種族に分かれているらしい。
白 → 人間
緑 → エルフ
オレンジ → ドワーフ
赤 → 獣人族
黒 → 魔族
だと言う。
なるほど地図を見る限り真ん中の大陸に人間、エルフ、ドワーフが集まっていて
右上が獣人族、他は魔族が支配してる事がわかる。魔族多くね?
ムーノウは慌てた様子で、
「本当は一種族につき一大陸与えていてな、でも魔族は悪い奴だと見てわかっていたのじゃ! だ、だからな、魔族は弱くしたのじゃ、弱くしたのじゃぁ」
と弁明しているが実際魔族が世界の半分以上を支配している。
ムーノウは続けて言う。
「さらにじゃ!ほかの種族には力を与えたのじゃ、困っていることがあれば手助けもした…なのにじゃ! どうして世界が魔族に支配されてるのじゃ!! 」
しらん…がこんなに楽しそうでお金がもらえる仕事がほかにあるだろうか。
三年間ニートをしてるおかげで異世界の知識はあらかたある。
世界を管理するのは少し重責だがゲーム感覚で楽しそうではある。
しかもこっちには神様がついているしな…少し不安な神だが。まぁ心は決まった。
「わかった。ありがたくこの仕事受けさせてもらいます! 」
「そうか、そうか、おぬしいいやつじゃな! 」
ムーノウは嬉しそうにこちらを見ている。
この選択で俺があんなことやこんなことに巻き込まれるとは知らず、
今はただ目の前ではしゃぐ神をほほえましく思いつつ異世界を管理するというわくわくとお給料に期待が膨らむ俺だった。
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