第31話 出会い♡好青年は15歳年下のイケメン男子
〈このまま生きていたって また同じことの繰り返しだ。 私には
〈そう言えば幸子は死んだのだろうか…あんな寒い雪が舞う夜に捨てられたら普通、赤ちゃんなら即 凍結して死ぬよね〉
〈きっと、このままでは済まない…もっと、もっと私を苦しませなければ気が
済まないんだよね…幸子…〉
〈……ごめんね幸子…。今更、謝ったって遅いかもしれないけど…もしも、あの世で
会えたら今度はちゃんと償うから…〉
「次―-2番線に電車が停車しますーー。黄色い線までお下がりください」
マニュアル通りのアナウンスの声が流れる。
ホームで電車を待つ人の群れは少なく、何一つ変わらない普段の日常の朝だった。
勢いが増す鋼鉄の
アナウンスの音声通りに黄色い線まで下がる人達。中にはスマホにイヤホンを
差し込み音楽を聴いている学生達の姿もある。
皆、他人のことには無関心に生きている。
〈もしも、この電車に飛び込んだら跡形もなく死ねるだろうか…〉
―――と、同時に滑り込んでくる電車の速度に合わせ和美の足は無意識に
飛び出していく。
ガシッ!!
その時、和美は誰かに腕を掴まれ黄色い線まで引き戻された。
その後、電車は勢いに流されて2番線を少し過ぎた所で停車した。
「‥‥‥」
〈…誰?〉
「あー、マジでビックリしたわ。飛び込むのかと思った…。君、死にたいの?」
青ざめた顔で和美は一点を見つめていた。
「少し…休憩しようか…」
電車に乗り込む人々を背にして好青年は和美の腰に手を回し、ホームに設備された
ベンチに向かう。
「ここに座って。俺、何か飲み物でも買ってくるから」
好青年は和美をベンチに座らせた後、チラホラと和美に視線を向けながら、
近くの自動販売機でホットコーヒーを2つ買って戻ってきた。
「はい、どうぞ」
好青年は和美の前にホットコーヒーを差し出す。
和美はゆっくりとホットコーヒーに手を伸ばした。
そして、好青年は和美の隣に腰を下ろす。
「俺の名前は
働いてるんだ」
「薬剤師さん…」
「ほっそい手…」
そう言って、修二が優しく和美の手に触れてきた。
「まさか、君…ホントに死ぬ気だった?」
「……」
和美は黙ったまま俯いていた。
「井岡総合病院さ、心療内科もあるからもしよかったら今からでも一緒に…」
「あ、ホントにもう大丈夫ですから。私におかまいなく…」
立ち上がった瞬間、和美はフラつきその場で倒れた――ーー。
「あっ、ちょっと……大丈夫…?」
〈気が遠くなるような声に…私は瞼を閉じていた――ーー〉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます