第29話  代償

幸子を捨てた代償はとてつもなく大きかった――――ーーー。


幸子を須崎神社へ捨てた後、和美は亮介の家へと戻った。

和美が玄関へ入ると、女物の靴が2足あった。

不信に思った和美は静かに玄関を上がり、爪先つまさきを立て、音を消して

そっと廊下を歩いていく。

亮介の部屋に差し掛かった時、少しだけドアの隙間から明かりが漏れ、

男女のキャンキャン犬が盛った笑い声に入り混じった女の淫乱に満ちた

喘ぎ声が廊下まで聞こえてきた。

思わず和美は亮介の部屋の前で立ち止まと、ドアにそっと耳を押し当てる。



「やっだああ…亮介のエッチ」

「お前、また胸、大きくなったんじゃねー? 触らせろや」

「っていうか、もう揉んでんじゃん」

「気持ちええわ。女とヤルの久しぶりだし」

「え、彼女とは?」

「ーーご無沙汰していまーす(笑)」

「え、まさかの破局? 彼女いない隙に女2人も連れ込んでバレたらどうすんの?」

「別にどうでもええ。男の快楽だし…たまんねー。そろそろ入れるぞ」

「えーまだ、愛撫してよ」

「ったく、お前らもエロイ腰、振ってんじゃん」

「だって舐められるの好きだもん。亮介、私の感じる場所、攻めてくるし」

「ったく、しょうがねーな」

「……あん…」

「そんな、シーツ濡らしてどうすんだよ」

「あ…ん…もっと…もっと…」

「お前、相当、たまってんな」

「ん――――ーーあん…そこ…そこが気持ちええ…」

「あ、私も亮介の濃厚なキス、ちょうだい」

「オッケイ、2人まとめて舌入れたる」

「きゃはっはっ…、もう、くすぐったいって…」

「ねぇ、彼女、今どこ行ってるの?」

「子供、捨てに行ってる(笑)」

「え? マジで」

「亮介、バカだね。彼女、妊娠させちゃって、どうすんの」

「あいつ、俺んちのトイレで産んでんだぜ。もう、ビックリするぜ」

「亮介、ゴムつけなかったんだ」

「だって生で入れると気持ちええじゃん。和美の身体のラインめっちゃキレーだし。あいつも俺とヤル時、めっちゃ感じてんの。たまんねーって感じ」

「野犬が何か言っとるわ(笑)。相当、遊んでるくせに」

「私達とヤル時はちゃんとゴムつけてよね。ソレ、マナーだよ」

「ああ、わかってるって。セフレを妊娠させるわけいかねーし」

「当然。はっはっは」

「俺のミサイル発射するぞー」

「やっだああ…あん…めっちゃいい…」

「あああああーーーんんん……」



バン――ーー!!


その時、部屋のドアが開いた。


「亮ちゃん、何、やってるの!」

「か…和美…」


和美のに2人の女達の肉体と亮介のき出しになった肉体が映る。

その肉体から性欲が溢れ出した男女の身体は本能をさらけ出し、遊楽を喜ぶように

淫乱となり絡まっていた。



―――そして、3股をかけられ亮介の裏切りを許せなかった和美は

                 暗黙のまま亮介と別れた―――ーーー。





その後、卒業と同時に和美は地元を離れ都会に出て、何もかもをリセットし、

再スタートを始めたのだった―――ーーー。


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