第21話 子守歌

寒い寒い冬が終わり、やがてポカポカと暖かな陽射しが訪れてきた。

私は丸くなった背中にわれ、よく眠らされていた。

相変わらず泣く生活が続いていたが、それも少しずつ減ってきたような気がする。


――というか、私をお世話してくれる人も段々と手慣れてきたのか、

私が泣く前にミルクだのオムツだのとわかるようになってきた。


ムムム……。


その手際の良さに私はピタッと泣くことを

やめた。

やっぱり、新しくなったオムツは気持ちいい。

おなかいっぱいになると眠たくなる。


「さっちゃん、散歩でも行こうかの」


タイミング良く私は背中に負われる。太陽の陽射しが眩しいほど、私を睡魔へと導いていく。揺れる背中はとても気持ちよく、解放された私は無防備にうつろな目を閉じていく。


「ふーふーふー」

背中から聞こえるメロディはおっとりした声でゆったり、のんびり歩くリズムに

合わせて声もゆっくりと眠たくなるようなテンポで発声する。

まるで子守唄のようだ。


「…さっちゃんはいい子だ、ねんねしよう〜ポカボカ春がやってきた、

さっちゃんの所にもやってきた、ねんねしよ〜ぬんねしよ〜」


揺れる背中は居心地のいい私の寝床だ。


ああ、このまま夢の中へ吸い込まれそうだ……。



私はまたいつものお決まりのパターンにハマってしまい、

やがて眠りについた―――ーーー。




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