第13話 愛らしいベビー服

「オッギャァァ―ー」

その産声は寝室の押し入れに頭を突っ込み四つん這いなってベビー服を

探していた音葉の所まで聞こえてきた。


カン!


思わず音葉は押し入れの低い天井に頭をぶつける。


「って」

泣きそうな目をうるうるさせ、音葉は両手で頭を押さえる。

その後、ベビー服が入った衣装ケースを引きずり出す。


「あった、あったよ」

音葉は衣装ケースの上蓋を開け、ベビー服を無造作に引っかき出す。

音葉の母である(故人)由布子は几帳面でしっかりしていた。

料理や掃除は勿論のこと、家事一般 を丁寧に細かくこなし、その他の

ことにも配慮でできていた。

衣装ケースにも冬用、夏用。三奈子、音葉に分けられ、さらに年齢別、

サイズ別まで衣装ケースに書いて貼っていたので、まだ小さい音葉でも

ベビー服の衣装ケースを探すことができた。

「へぇ、かわいい。私、こんなの着てたんだ。覚えてないけど…」

〈でも、迷うなあ…どれを持っていけばいいんだろ〉


「まあ、適当に2つ、3つ持っていけばいいか」

と、音葉は冬用のベビー服を両手に抱え寝室を出て行った。

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