第4話 雑音…

 「お前、トイレで産んだの? どうすんだよ、こいつ」


その声は母の胎内で聞こえた雑音によく似ていた。


「だって、仕方ないでしょ。私、まだ17歳だし、病院なんか

行けなかったんだもん」


「ったく、俺に面倒なんかみれるわけねーだろ」


「亮ちゃんには迷惑かけないよ」


「アホか、お前が赤ちゃんを産んだ時点で迷惑だってわかんねーのかよ」


「あ、ねぇ、亮ちゃんのお父さんとお母さんは?」


「ああ、年末年始はジイちゃんとバアちゃんのとこに帰ってんだよ。

俺は行かなかったけど」


「そうなんだ…。よかった…ご両親がいなかった時でさ」


「あー、サイアクだーー。お前、俺を騙したのかよ」


「亮ちゃんがゴムつけてくれなかったんじゃん」


「だって、めんどくせーし」


「案外、この子可愛いよ。ほら、見てよ、目なんて亮ちゃん、そっくりかも(笑)」


「やめろよ、興味ねー」


「亮ちゃん……」


「…こい」


「え?」


「そいつ…捨てて来い」


「亮ちゃん…」


「俺達はまだ高2だ。俺達に子供なんか育てられるワケねーだろ」


「それは、そうかもしれないけど…」


「お願いします小宮和美こみやかずみさん、捨ててきてください」

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