第347話 収束へ向かっていく



Side ???


「陽子、どうだ?」

「ん~、ちょっと待って~……」


私は自分のダンジョンに三つの階層を造り、一階層に家を建てた。

平屋建てではあるが、広さはそこらの小学校や中学校と比べても広い。

そして、DP交換でホムンクルスを手に入れ、メイドとして働いてもらっている。


その家に、陽子が転がり込んできた。

何でも、家賃が払えなくなってアパートを追い出されたのだとか。

で、私の仕事を手伝うからと共同生活をお願いされたのだ。


まあ、家は広いし部屋はいっぱい余っているからな。

まあ、いいかと陽子を受け入れた。


で、今私は、陽子に例の化け物が噴き出したという場所を衛星からの映像で調べてもらっている。


「ああ~、これだね~」

「分かったか?」

「これが、五分前の衛星からの映像だよ。

ここ。拡大すると……ほら、化け物が出てきているでしょ?」

「これが、原因か……」

「日本のね」


四つあるパソコンのモニターの一つに、例の化け物が湧き出ている場所を上空から見た映像が映し出されている。

さらに、パソコンを操作して拡大すると、化け物がどう出てきているのかが分かった。


「すごいな、コレ……」

「見て、時雨さん。

ここに映っているの。

これ、陸自の人たちだよ……」

「……だいぶ近いな。

ここまで近づいているということは、元凶を叩こうとしてる?」

「たぶんね」


化け物が湧き出ている場所から、少し離れた場所で陸上自衛隊の人たちが戦っていた。

戦車の姿も見えるが、他の車両もあるみたい。

私は、兵器に関しては詳しくないがたぶんこれ、装甲車とかいうものではないだろうか?


元凶の場所が、大きな市街地から近かったためにこういう戦いができているのだろう。

もし、元凶の場所が山の中とかだとこうはいかなかったのか……。


「ん~、こんな戦いが他の国でも起こっているのか……」

「だいたい、化け物が出現した国では起きていると思う」

「避難の様子はどうなの?」

「テレビのニュースでやっている通りだよ。

九割がた避難が完了しているけど、まだ逃げ遅れている人がいるみたい」

「そうか……」


避難が遅れている。

これだけ聞けば、政府何やっているんだと非難されそうだが、今も避難していない人はいない。

本当は、後から現地に入っていった人たちだ。


その地に住んでいる人で、避難できる人は避難している。

自力で避難できない人も、周りの人や支援の人たちのおかげで避難出来ている。


「でもその逃げ遅れている人って……」

「そうだよ。

テレビでも呼びかけられている、興味本位で現場に行った人たち。

報道関係は、陸自や警察と連携がとれているみたいだけど、他はね~」

「ハァ~、迷惑な連中だな……」

「まあ、それでも見捨てるわけにはいかないからね……」


危険だって言われているのに……。




▽    ▽    ▽




Side 五十嵐颯太


地球に、魔物が溢れ出て一週間が経過した。

各国の都市近くに魔物の出現地があったため、初期避難が遅れた大なる被害が出た。

ただ、魔物が出現しなかった場所もあり無傷の国も存在する。


そのような国は、魔物が出現した国に支援をしている。

でも、そんな無傷の国など島国だったりするだけで、ほとんどの国は被害を出していた。


「マスター、こちらをご覧ください」


コアルームで、ミアがある映像を見せてきた。

それは、人工衛星からの映像で魔物の出現場所を映したものだ。


俺たちの予測では、魔物たちが出現した原因は野良ダンジョンによるスタンピードだと思っていたが、どうやらその予想で間違いなかったらしい。


衛星からの映像には、黒いダンジョンの入り口を映っており、その周りに魔物がいることが分かる。


「……どうやら、野良ダンジョンのスタンピードで間違いないな」

「はい。

それと、ダンジョンの魔物排出はどうやら終わったようです」

「そうだな。この映像からも、ダンジョンから魔物が出ていないことが分かる」

「となれば、今いる魔物を倒しきれば……」

「一応の安全は確保できるわけか。

……よし、ゴーレム兵を投入して魔物を殲滅してくれ」

「分かりました。

すぐに準備に取りかかります」


そう言うと、ミアは一礼してコアルームから出ていった。

エレノアたちにも知らせて、準備をするのだろう。


俺も、ダンジョン企画を通してゴーレム兵のことを知らせておくか。

魔物として、攻撃されても困るからね。


しかし、ようやくスタンピードも収束に向かうか。

でもこれから、この野良ダンジョンをどうするかだな。

各国でダンジョンを管理するというのもありだろうが、そうなると冒険者か探索者が職業の一つとなるのか?


そうなると、地球もファンタジーに染まっていくな~。

でも、この手の小説や漫画とは違って、近代兵器や化学製品はそのままだし、地球資源のそのまま。


ただ、魔素で地球が満たされダンジョンが出現しただけってことに……。

いや、魔物による犠牲者も出ているし大変なことは大変なのか。


これから、俺たちはどうするかな……。




▽    ▽    ▽




Side ???


『ミニラエル! あの町だ!!』

『全員、あの洞窟に突撃!

あそこから地球に出て、悪魔どもを殲滅するのよ!!』

『『『『おお!!』』』』


天使たちの大群は、ダンジョンのある町を発見し壁にある黒い洞窟を目掛けて突っ込んでいく。

次々と突撃していく天使たち。

中には、白い翼からすっかり灰色の翼に変化した天使たちもいた。


さらに、姿が変わり始めている天使もいるようだ……。

町にいた人々は、その天使たちの行動を見て驚き、ダンジョンの入口から退避する。


「な、何だぁ?!」

「天使だ! 天使が突っ込んできたぁ!!」

「いや、天使族じゃないのか?!」


天使たちの行動を目撃した町の人たちは、驚き混乱する。

そして、突っ込んできた天使を察知した颯太によって対処されることになる……。







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