第330話 怪盗登場?
Side セーラ
私は今、九州ダンジョンパークから出てしまった従魔たちを追跡調査しています。
この県の○○市にある大型スーパーにて、従魔の反応を検知し探してみれば、従魔の風の精霊を発見。
しかも、従魔のマスターの男とまるで恋人同士のような振る舞いで買い物をしていました。
正直言って、少し羨ましいと感じました。
私も、マスターと一緒に買い物をしてみたいです……。
……と、とりあえず、今は尾行して調査します。
「ところでシリィ、このお菓子はどうだった?」
「それ、しょっぱいだけで美味しくなかったよ。
それよりも、こっちの味が美味しかった」
「ん~、コーンポタージュ味か~」
「こっちの、めんたい味はレイジのお気に入りだったわね」
「ああ、それも買っていこうか」
お菓子コーナーで、昔なじみのお菓子を二人で購入。
周りに、何か迷惑をかけることは無いようです……。
ちなみに、私はサラダ味が大好きです!
次は、冷凍食品のコーナーですか。
から揚げに焼きおにぎり……、いろいろ買いますね……。
二人で、食べきれる量ではありません。
もしかしたら、他にも従魔がいるのかもしれませんね。
これは、さらに見守って調べる必要がありますね……。
▽ ▽ ▽
Side ???
「シリィ、このエコバッグに買ったものを詰めてくれる?」
「任せて、レイジ」
支払いを済ませて、エコバッグに商品を詰めていく。
今日も、かなりの量を購入してしあった。
毎回のこととはいえ、シリィとの買い物は楽しいからな~。
ついつい買いすぎてしまう。
……まあ、家には消費するメンバーがたくさんいるし、大丈夫だろう。
「それにしても、今日もいっぱい買ったね、レイジ」
「ああ、うちにいる連中が食うからな~」
「あはは、ゴメンねぇ~。
リリィやウィンリィはともかく、カノンは大喰らいだから……」
商品をエコバッグに詰めながら、シリィの表情が曇る。
仲間が悪いと思っているのだろう。
でも、そんなことは全然気にしていない。
だから俺は、シリィの頭に手をやり撫でてあげる。
すると少し驚くものの、すぐに笑顔になってくれた。
「気にするな、シリィ。
シリィたちと暮らせて、毎日が楽しいんだ。
それに何かあれば、ダンジョンパークに戻ればいいんだしな」
「レイジ……。
ん、ありがとう。私たちを受け入れてくれて」
お互いに笑顔になると、少し照れ臭くなる。
それに、周りの注目も集めていた。
だから、すぐに商品を詰め終えると、大型スーパーを後にする。
そして、駐車場にある車に乗って、家に帰るのだった。
▽ ▽ ▽
Side セーラ
しまった!
追跡者たちが、車に乗って移動してしまった。
……私は免許を持っていないので、車での追跡が不可能だ。
だが一応、追跡用の虫ゴーレムは付けてある。
それに、あの男が言っていた名前の存在も気になる。
風の精霊の従魔以外にも、何かいると見ていいだろう。
……だけど、九州ダンジョンパークから出ている従魔は三十近く。
十三人のマスターがいるらしいし、一人で複数の従魔を連れていることもあるらしい。
本来は、一人一従魔のはずなんだけど、やり方次第では複数の従魔と契約、またはテイム出来るらしい。
やり方は教えてもらえなかったけど……。
とにかく、あの男がその複数持ちなのかもしれない……。
▽ ▽ ▽
Side ルナ
私は今、夜の暗い住宅街に来ています。
ここで最近、ドロボーが出没するらしいのです。
しかもそのドロボー、猫耳に長い尻尾を付けた女性の姿をしているそうです。
警察でも警戒を強化し、見回りを増やして、ようやくそのドロボーの姿を動画に撮ることができました。
そこで、指名手配することになって世間に公開されました。
「……これ、どう見てもケットシーですよね?」
九州ダンジョンパークのテイム従魔のケットシーは、猫好きな人に人気の従魔です。
猫が二足歩行で歩いたり走ったりしますが、猫ではありません。
また、人のような姿はしておりません。
もし、人のような猫だと猫獣人になりますからね。
それでは種族が違いますし、そもそもテイムできませんから。
でも、それでは目撃した人は見間違えたということでしょうか?
そんなことを考えながら周囲を捜索していると、発見しました!
大きな赤い屋根の家の上に、仁王立ちしています。
しかも何ですか、あの格好は?!
ふちのある黒い帽子にサングラス。
黒いマントにタキシード??
そして、手には大きなサンタ袋を持っていました。
もしかして、あのサンタ袋は無限収納袋?
あ?! 私に気づいて逃げました!
どうやら、私のことが分かるようですね……。
とりあえず、虫ゴーレムをあの猫に張り付けて私も追いかけます!
犯罪に手を染めるケットシーは、許しませんよ!
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