第308話 ダンジョンコア探索
Side ???
日差しがカーテンの隙間から部屋に入り、ベッドで眠る私の顔を照らす。
私は、その眩しさに表情を歪め目を覚ました……。
そして、ベッドの側にあった時計を見ると、時刻は昼近くを指している。
どうやら、頼まれていたものを完成させてからベッドに横になって、そのまま寝てしまったらしい。
上司の時雨さんに頼まれて、今回の仕事を引き受けたが、やらされたことは大変なプログラム開発だった。
今、世間を騒がせているダンジョンコアなるものを探し出すシステムを作ってくれといわれてもねぇ……。
「はぁ~、体が怠い……」
このところ、ずっとパソコンの前に座ってプログラム開発していたからな……。
そして昨日、ようやく完成させて起動させてみれば、場所は大阪と表示された。
「まったく、誰のものでもないダンジョンコアを探し出せるプログラムを開発してくれなんて……」
普通は、そんな探索プログラムなど開発できるわけがない。
だが私は、世界中に出現したダンジョンコアが、あるエネルギーによって繋がりがあることを発見した。
ただ、そのエネルギーが何なのかは分からなかったが、確かにそのエネルギーによって繋がりがあるのだ。
ならば、その繋がりを利用してダンジョンコアのある場所を特定できないか試行錯誤しているところに、時雨さんが話を持ってきたのだ。
大まかな探索システム開発は、時雨さんの会社に任せて、私はあるエネルギーの繋がりを探知してダンジョンコアのある場所を表示するプログラムの開発に成功した。
後は、このプログラムを時雨さんの会社に売って本格的なダンジョンコア探索システムができれば、私の懐も潤うだろう……。
「さあ~て、お昼にするかな……。
今日のお昼のニュースは……」
昼食の用意をしながらテレビをつけると、一つのニュースを特集していた。
それは、ポーションに関する特集だった。
『では、若返りポーションには制限時間という寿命があるんですね?』
『ええ、我々ダンジョン企画の研究チームが、ようやく明らかにできました。
ですから、若返りポーションを使われた方は、すぐに警察か役所に名乗り出てほしいんです』
緊急特集というテロップが出て、いろいろと大型パネルに記載されていた。
さらに、若返りポーションで亡くなられた犠牲者の数や死因が紹介され、注意喚起されている。
『現在、制限時間という寿命を何とかできないか研究チームで対策を考えているのですが、解決策がないのが現状です』
『でも、若返りポーションなんてどこから出回ったものなんです?』
コメンテーターの背広を着た男性が、そんなポーションがどこから出てきたのか質問をする。
『それは今、若い世代で話題になっているダンジョンコアが関係しています』
『ダンジョンコア?
例のダンジョンマスターに成れる、あれですか?』
『そうです。
ダンジョンマスターに成って、DPといわれるポイントと交換することで若返りポーションなどを手に入れて、ネットなどで売っていたらしいということまでは分かっています。
今、警察が取り締まりを始めたらしいのですが……』
『それは、遅すぎでしょう。
……この警察が調べた資料には、ここ最近で若返りポーションを使ったと思われる人たちの急死が日本全国で、三千人近く起きているとあるんです。
何で今頃、原因が判明するんですか?!』
『若島さん、落ち着いて。
研究チームによる原因究明は、警察の方で行われていましたがなかなか判明しなかった。
で、ダンジョン企画の研究チームが亡くなられた人たちが全員、若返りポーションを使用していたというところに気がついてようやく判明したんですから……』
『……』
若島というコメンテーターも黙ってしまう。
原因が分かったのが昨日で、その日のうちに発表され若返りポーションを使った人たちが騒いでいるらしい。
その中心にいるのが、政治家などの政府関係者。
「これは、大変だ……」
私は、若返りポーションを使っていないから他人事のように考えてしまうが、使ったものが身近にいたら慌てたかも……。
……でも、DPで交換した若返りポーションならば、寿命の対策はDPで交換できるんじゃないのかな?
私は、番組内で繰り広げられるコメンテーターの意見と司会者の説明を聞きながら、そんなことを考えてしまった……。
▽ ▽ ▽
Side ???
私はスマホの画面を見ながら、周りの景色を確認している。
スマホの地図には、確かにこの辺りだと表示されているのだ。
陽子に開発してもらったプログラムで表示された場所は、大阪のこの辺りを指していた。
「ん~、確かこの辺りのはずなんだが……」
住宅街と思われる場所を行ったり来たりしている私は、絶対不審者と思われるだろうな……。
そんなことをチラッとだけ考えながら、ウロウロしているとようやく発見した。
「あった……」
電柱の裏のブロック塀との間に、黒い靄のダンジョンへの入り口があった。
こんな場所に隠れるようにあったため、誰にも見つからなかったのだろう。
私は、電柱とブロック塀の間に体を無理やり入れて、黒い靄へ入っていく。
そして、靄の中をまっすぐ歩くと少し広い場所にたどり着いた。
「……確かに、ダンジョンコアがあった。
それも、誰も契約していないさらの状態だ」
私はすぐに、ダンジョンコアに近づいて右手で触れると女性の声が響いた。
これで、十三個目のダンジョンコアだ。
レベルも十三となり、DPで交換できる品物も増える。
「……おっと」
少し眩暈がして、ダンジョンコアに手をついてよろめく。
この症状は、ダンジョンコアと契約した証拠だ。
「これで、このダンジョンコアは私の物となり、集めていた他のダンジョンコアと一つになる」
また陽子の所に戻って、誰のものでもないダンジョンコアを捜索するとしよう。
そして、ある程度レベルを上げたらダンジョンコア探索システムを発表するもの良いだろうな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます