第266話 ダンジョン攻略
Side ミア
ゴーレム騎士を、次々とウー・リーに突撃させる。
始めは、ゴーレム騎士の攻撃をかわしていくが、次第に受け流しに変わり、カウンターを使用しだしたが、すぐに防御のみになる。
武器であるモーニングスターを、ゴーレム騎士の一体にはじき落とされると、もはやウー・リーに反撃する力がなくなる。
すぐに、次から次に襲いかかるゴーレム騎士の剣がウー・リーの身体を貫いていく。
『グァアアアアアァァァ……』
「……すごいわね。
ゴーレム騎士の剣が、あんなに突き刺さっているのに灰にも消滅もしないなんて……」
『俺を、倒せる、モノがいる、とは……』
「さようなら、ウー・リー。
ダンジョンから解放されて、安らかに眠りなさい」
『……』
ウー・リーの身体が灰に、ゆっくりと変わっていく。
これでダンジョンマスターを討伐した。
後は、この先にあるダンジョンコアを破壊すれば、このダンジョンは崩壊する。
本当なら、マスターに吸収してもらって新しいダンジョンの糧としてほしいところなのだが今、マスターは修学旅行でいない。
ダンジョンコアのまま放置しておけば、再び新たなダンジョンマスターを誘い込んでダンジョンとして復活してしまう。
まあ、復活するときのダンジョンは死霊系になる確率が高いのだけれど……。
「エレノア、ゴーレム騎士を奥へ進めてダンジョンコアを破壊して」
「もったいないけど、了解!」
エレノアも分かっているのね、ダンジョンを復活させないためだと。
ゴーレム騎士たちが、ボス部屋の奥へ進む。
そして、ダンジョンコアの部屋にたどり着くと、躊躇なくダンジョンコアを破壊した。
甲高い音が、ダンジョンコアの悲鳴のように聞こえたが、これで明日には、このダンジョンは消滅するだろう。
これで、地球にできたダンジョンの件は解決した。
ただ、他にもダンジョンが生まれていないとは言えないのかもしれない。
▽ ▽ ▽
Side ???
魔王のダンジョンを行く教会の探索部隊は、ようやく百階層へ到達した。
ここまでで、少なくない犠牲が出てしまったが、従魔の卵を使ったテイマー部隊の活躍で何とか隊は維持できていた。
最初に従魔としていた、オーク、ダンジョンウルフの灰色はすでに倒されていなかった。
そして、三十頭もいたオルトロスたちも、今はもういない。
その代わり、ケルベロスを十六頭、グリフォンを十三頭、ブラックユニコーンを六頭、そして、紅龍フレアドラゴンを従魔としていた。
「ようやく百階層か」
「隊長、この紅龍、すごいですね……」
「九十階層のボスを従魔にできるとはな……。
さすが、勇者レンジ様の作った魔道具『従魔の卵』だ。
その力は、階層のボスにまで及ぶとはな」
「まあその分、制約もあるんですけどね……」
「ジュリアス、大丈夫だろうな?
紅龍の制御、任せたぞ?」
「了解です」
ジュリアスは、紅龍の側に移動し、体を労わっている。
紅龍は、大人しくジュリアスの言うことを聞いているようだ……。
疲れ果てて、その場に座り込んで休む教会の騎士や兵士たち。
それとは対照的に、従魔と戯れているのが従魔使い隊。
「ん~、従魔隊が元気なのは何故だ?」
「それは、従えている従魔の効果でしょう。
確か、従魔にした魔物によってスキルや力の一部が主人に反映されるとか聞いたことがあります」
「……なるほど、ここまでにかなりの強力な従魔を従えたからな。
そのおかげということか……」
そこへ、百階層を偵察していた斥候が帰ってきた。
神殿兵士の中に、何人か斥候ができるものがいるのだ。
「隊長、百階層は罠の気配もなく通路は真っ直ぐ続いています。
ただ気配から、強力な魔物が何体か通路上にいるようです」
「強力というのは、ボスクラスの魔物なのか?」
「紅龍ほどではありませんが、五十階層のボス部屋に出てきたキングホワイトタイガーほどだと思われます」
「キングホワイトタイガーか……」
五十階層のボス部屋に出現した、キングホワイトタイガーは、白く大きな体格をしていてその全長は十メートルを超えていた。
顔だけでも二メートルはあったのだ。
その迫力は、神殿兵士たちが咆哮に気絶したものが出るほどだった。
そのキングホワイトタイガーを倒すことができたのは、オルトロスたちの犠牲があればこそだった……。
そんな魔物が、通路を塞いで待ち構えているとなるとここでしっかりと休ませて挑まなくてはならないだろう。
だが依然と違い、こちらには紅龍をはじめとした強力な魔物がいるのだ。
そう心配する必要はないだろうが、一応覚悟はしておこう。
「隊長、そういえばそろそろですね。
教会から、追加の部隊が派遣されるのは……」
「人数は、我々と同じぐらいだと聞いていたがはたしてここまでたどり着けるかどうか……」
「追加部隊にも、従魔使い隊はいるんですよね?」
「もちろん、ついてくる。
神殿騎士と神殿兵士が、主戦力といわれているが、実際は従魔たちが主戦力になっている。
嘆かわしいことにな……」
「仕方ありませんよ。
この魔王のダンジョンは、苛烈すぎます。
死霊系のフィールドがあったり、火属性魔物のフィールドがあったり、フィールド自体が火山という所もありました……」
「あれは、酷かったな……」
まさに、魔王のダンジョンの名にふさわしい苛烈さだった。
もし勇者たちならば、この苛烈さも問題にならないのだろうか?
とにかく今は休んで、先に進むための英気を養わなければ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます