第253話 修学旅行へ
Side ???
『ピーーーーー』
「フム、まだ反応があるか……。
核二発分の爆発は、かなり影響が長いな……」
「隊長! そこかしこにこんな宝石が落ちていました!」
防護服を着た部下の一人が、きらりと光る形の悪い宝石を持ってきた。
色も赤、青、黄、白、と様々な色があった。
あの国の遺跡があった場所に、北の大国から核ミサイルが二発撃ち込まれた。
核爆発によりここも更地となったが、この日漸く調査のために入ることができた。
そして今、調査を行っているのは国連から派遣された調査隊だ。
「ん~、何だろうな……。
とりあえず集めておいてくれ。
後で、専門家に調べてもらおう」
「分かりました!」
手に持った、ガイガーカウンターからは、たえずピーピーうるさい音が出ている。
爆心地は、やはり放射能がまだ計測されている。
後十分ほど調査をしたら、撤収しよう。
そして、次の班に任せるか……。
「ん? あれは何だ?」
地面に埋まっている、宝石を発見した。
だが、手で宝石を掴むもビクともしない。
俺は、宝石の周りの土を払うとさらに宝石が姿を現した。
「これは……。
おい! 手伝ってくれ!!」
「は、はい!」
周りにいた防護服を着る部下たちを呼ぶと、宝石の周りを掘って大きさを確かめた。
そして、その大きさに驚く。
「隊長、これはかなりの大きさがありますね……」
「ああ、もしかしたら世界最大かもしれんぞ?」
「何人か連れてきます!
それと、これが入る袋も持ってきます!」
「ああ。それと、ヘリの出動も連絡してくれ」
「ヘリ、ですか?」
「ああ、これを運ぶとなるとヘリで運ぶしかないだろう。
この場所から、陸路で運ぶのは危険だ……」
「分かりました、すぐに連絡します!」
今も地面に埋まっている赤い宝石。
少しだけ輝きがあるが、少し血のように濁っている感じだ。
こんな宝石が、爆心地から発見されるのも前例がない。
もしかしたら、遺跡の中にあったものが核爆発によって周りに散らばって発見されているのかもしれないな……。
となると、あの国が五月蠅くなりそうだ……。
▽ ▽ ▽
Side 五十嵐颯太
「はいはい、朝のホームルームはじめるぞ~。
え~、もうすぐ修学旅行だ。
今年の行き先は、海外……にしようかと思ったが国内だ!」
「「「ええぇぇ~~」」」
配られたプリントには、修学旅行の行き先が京都、奈良、大阪となっている。
神社仏閣などに行き、歴史を肌で実感しようということらしい。
まあ、無難なところだろうな……。
「ええい、文句言うな!
修学旅行も、授業の一環だ! 日本の歴史を学びに行くんだ。
遊びに行くわけじゃあないぞ!」
「「「「は~い」」」」
不満がありそうな声で返事をする。
高校生だからな、海外へ修学旅行に行きたかったよな~。
「修学旅行の日時は、一週間後の十一月初めになる。
今年は、海外からの観光客が多いらしいから、国際交流もできるだろう?
後で、班別け、部屋割りを渡す」
「え?! 俺たちで決めるんじゃないの?」
「お前たちに決めさせると、時間がかかるだろ?」
「いやいや、決めさせてくれ?!
時間かからないから!」
「……よし、今日の帰りまでに決めること!
決められないときは、私が決めるからきちんと決めるんだぞ?」
「は~い!」
クラスメイトの交渉で、何とか班別け、部屋割りを勝ち取ることができた。
「部屋割りは、男女別。
後はプリントに書いてある通りだ。
班は、六人から八人の範囲で決めること。
それじゃあ、一時限目の準備をしておけよ~」
そう言うと、担任の先生は教室を出ていった。
今日の一時限目は数学だ。
「なあ颯太、班は颯太と俺と悟、後は恭太郎と祐樹でいいよな?」
「陸斗が、そのメンバーがいいんだろ?」
「ああ、気心が知れて、会話に遠慮がいらないこのメンバーがいい」
「なら、それでいいんじゃないか?」
「よし、悟たちにも確認してくる!」
陸斗はすぐに席を立つと、悟たちの元へ行く。
もうすぐ先生が来るのに、大丈夫なのか?
「ねぇねぇ、颯太。
自由時間になったら、一緒に神社仏閣巡りしない?」
「それは構わないけど、班のみんなと行動しないといけないんじゃないか?」
「だから、私たちの班と一緒に行動しないってこと」
「ああ、それなら問題ないな」
そう答えると、凛はすぐに同じ班になった女子に声をかけている。
まあ、どうせいつものメンバーだろう。
その中に、アリアナを入れて行動するようだ。
しかし、修学旅行の一週間前に告知ってどうなんだろうな。
絶対、どこかで誰かが連絡を忘れていたな……。
まあ、土日を挟むからいいんだけど。
しかし、京都、奈良、大阪か。
小学校の時の修学旅行と被ったな……。
▽ ▽ ▽
Side 魔法を使った部分的記憶喪失の女性
『ワン! ワン!』
『ワン! ワン!』
病室から見える庭で、オルトロスが鳴いている。
頭が二つあるせいか、二倍五月蠅い。
「あの、何があったんですか?」
「ああ、二足歩行する豚を捕まえたそうだ」
「豚?!」
「ああ。今、駐車場で捕まえた豚をどうするか話し合っているよ」
「ありがとうございます」
近くを通っていた看護士の男性を捕まえて、何かあったのか聞いて驚いた。
二足歩行の豚を捕らえたそうだ。
でも、ここで疑問に思ってしまった。
「……あの豚足で、二足歩行できるのかな?」
見に行ってみよう。
そう思った私は、好奇心から駐車場に歩いていった。
二足歩行の豚を見に……。
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