第214話 ダンジョンパークへ誘う
Side アリアナ
『アリアナ、私たちが調べた結果、この三人が何かを知っているものと思われます。
五十嵐颯太、大内凛、渡辺陸斗。
この三人の親は、ダンジョン企画を立ち上げたときからの重要人物でした。
おそらく、何か関係があるのかもしれません。
いいですか? 必ず仲良くなって、例の女の子の情報を我が国にもたらしてくだい』
こう言って、私への支援を約束してくれたけど、日本の高校なんて初めてよ。
動画で見た女の子の情報を知っていそうな、三人のいるクラスに潜りこめたけど……。
ホームルーム後、私の周りにはクラスの生徒が何人か集まり質問攻めにあっている。
……これが、日本の高校生というものなのかな?
「ね、ね、アリアナは日本語上手いけど、ロスの学校で習ったの?」
「はい、日本語を教えている学校があったので、そこで学びました」
「へぇ~」
「アジアで、日本語学校ってよく聞くけど、アメリカにもあるんだね~」
「日本の漫画やアニメは、大人気ですから、日本語を勉強したい人が増えています。
それに、日本へ旅行したい人も大勢いますよ」
「いつの間に、日本への旅行がそんな人気に?」
「たぶん、ダンジョンパークが原因ですね。
魔法が体験できるという動画は、世界で見られている動画のようですから」
そう、ダンジョンパークのあの魔法が使えるという動画、そして、日本へ旅行に行ってダンジョンパークで魔法を使ったという動画が、人気に拍車をかけた。
俺も私もと、魔法を使いたい人たちが日本へ旅行に行くようになったからだ。
そして、ダンジョンパークで魔法を使う。
それも、タクトを持って使えるとなれば、さらに行きたくなる人が増えたらしい。
日本の治安の良さに加え、魔法が体験できるなど、旅行先一位になるのも頷けますね……。
「ダンジョンパークか、俺行ったことないんだよな……」
「はあ? おいマジか、良太。
今やダンジョンパークに行ったことないなんて、日本人じゃねぇぞ?」
「そんなこと言っても、行ったことないんだからしょうがないだろ?
それとも、陸斗が連れて行ってくれるのか?」
「いいぞ。連れて行ってやるよ」
彼が渡辺陸斗、面倒見のよさそうな少年ですね……。
スタイルはまあまあ、成績は確か、中の下。
赤点ギリギリを行ったり来たりでしたか?
最初に話題を持ってくる情報通だと、聞きましたが……。
「なら陸斗、明日から連休だろ?
その時に、俺たちで連れて行ってやろうぜ~」
「お、いいな。
どうだ、良太。俺たちが連れて行ってやるぞ?
一緒にいかねぇか?」
「……妹たちも一緒でいいなら、お願いしたいんだけど」
「構わねぇぞ、なあ?」
「ああ、次の休みに一緒に行こうぜ~」
「分かった。よろしくな」
「おう!」
どうやら、本当に面倒見はいいようですね。
「アリアナは、ダンジョンパーク、行ったことあるの?」
「私、まだなんですよ。
次の休みに行く予定でしたので、楽しみにしているんです」
「あら、それなら私たちと一緒に行かない?」
「あそこは、案内役がいたほうが分かりやすし、ね? 凛ちゃん」
「そう? でも、そうかもしれないわね。
ダンジョンパークって、結構広いし」
「どうかな? アリアナ。
私たちに案内させてくれないかな?」
確か、佐々原かな恵さんでしたか。
一緒に来る人がいますけど、大丈夫かな?
「構いませんが、同行者がいます、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。
私たちは構わないから、一緒に行こう」
「はい、ありがとうございます!」
よかった、ミサキと一緒でも大丈夫そうだ。
日本に来て、最初に友達となった女性。
ダンジョンパークに行きたいと言ったら、一緒に来てくれると言ってくれた。
みんなで楽しく、ダンジョンパークを体験できるかな?
▽ ▽ ▽
Side 五十嵐颯太
それにしても、転校生とか俺の学校生活初めての経験だな。
それも、アメリカからの転校生とは……。
「ね、颯太も一緒に行かない?」
「お、いいんじゃねか?
どうせなら、みんなでダンジョンパークに行こうぜ!」
凛が俺を誘い、陸斗がどうせならと、クラスメートたちを誘う。
クラスメートの中には、まだダンジョンパークに足を運んでいない者もいるだろうから、ちょうどいいやってことだろう。
相変わらずだな、陸斗は。
「相変わらず、陸斗は適当ね」
「まあ、そこがいいというのもあるんだが……。
それより、アリアナの同行者って誰かな?」
「日本に来てからできた、友達じゃないかな?
まさか、アメリカの友達ってことはないでしょう」
「だよな……」
少し気になるが、たいしたことじゃないな。
それにしても、陸斗があおったせいか全員でダンジョンパークに行くことになっている。
そこに、陸斗たちが従魔の良さをアピールしていた。
メリットだけじゃなくて、デメリットもアピールしておいた方がいいと思うけどな。
お小遣いが足りないとか、嘆いていたくせに……。
「ねえ、颯太。
ダンジョンパーク内で、バイトとか募集してないかな?」
「バイト? 募集はしているみたいだよ。
ただ、長く働いてくれる人を優先的に採用するみたいだからね。
短期のバイトは、採用されないかもしれない」
「そうなのね……」
「でも、ダンジョンパーク内には良い稼ぎ方があるじゃない?」
「どんな?」
「冒険者として、依頼を受けて達成するやり方」
「あ~、そういえばみんな冒険者として登録してたわね」
みんな、冒険者だってことを忘れているんだよね。
まあ、魔物を倒してどうのという依頼がないから、実感がないんだと思うけど、結構稼げるようになっているのにね~。
冒険者で稼いでいる日本人って結構いるのに、みんな気づいてないんだよな……。
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