第170話 階層紹介



Side 五十嵐颯太


階層説明の続きだ。


第二階層から第五階層までは、最初のダンジョンパークと同じでそれぞれ、畑階層、放牧地階層、海階層、山岳階層となっている。

これは、日本政府からの要望もあり、このダンジョンとの貿易をするためにも欲しい階層だそうだ。


日本の食糧事情とか、鉱物事情とかの助けになればいいのかな。



第六階層は、従魔階層となる。

この階層は、従魔になる魔物などをテイムするための階層だ。

第一階層にある、テイム施設と転移の街道で繋がっていて、移動することができる。


この階層には、テイムできる魔物がほとんどいるダンジョンがある。


魔物テイムの場所は、このダンジョンに潜ってテイムしてもらうことになる。

ただし、素人が潜ってもDPの肥やしになるだけなので、護衛兼魔物を弱らせる冒険者を用意した。

もちろん、用意したといっても依頼を出しただけなんだが、冒険者たちの食いつきが良かったな……。

さらに安全策として、ゴーレム騎士も用意した。

これで大丈夫だと、思いたいが……。


そして、この階層のフィールドには幻獣をテイム、というより契約するための場所をいくつか設置した。

特に、陸斗たちが熱望していた狐の幻獣は、神社を用意したのでそこで契約してほしい。


実は、陸斗たちが前話していた狐の魔物は、魔物ではなく幻獣扱いだったのだ。

その名も九尾の狐。

しかも、メスしかおらず陸斗たちは大喜びすることだろう。


ただし、契約できればいいけどな……。

この九尾の狐、警戒心が強く、なかなか契約することはままならないだろう。


もちろん、このほかの幻獣もいるから階層を駆け巡って探して契約してほしい。


それと、精霊と妖精も同じように、この階層のどこかにいる。

精霊がいそうな精霊の森や、妖精がいそうな妖精のお花畑など、いろいろ用意したのだ。


ただし、動物はいない。

テイムできる動物、しかも異世界の動物を考えていたのだが、異世界と本当に繋がったため、わざわざ階層を使って用意する必要はないなということで、今回は見送った。



第七階層は、自然階層で、テイムした魔物などを預かる階層となっている。

また、ダンジョンの外に持ち出そうとした魔物が、送られてくる場所もここだ。


第一階層にあるテイム施設と、転移の街道で繋がっていて来ることができる。

ただし、ここは専属の職員と来ることになる。


その職員には、いろいろと魔道具を渡しており安全に、テイムした魔物や幻獣などと会えるようにしている。



第八階層から第十階層は、最初のダンジョンと同じだ。


森林階層に、トレントだらけの森林階層、そしてダンジョンコア階層となる。

普通に立ち入ることはできない階層となるが、別に用もないのであっても構わないだろう。



以上が、第二ダンジョンの階層紹介となる。

これでも問題は起こるだろうが、その都度対処していこうと思う。




▽    ▽    ▽




Side ???


「真琴さんの病気ですが、うちの病院では治すことが難しいかと思われます」

「先生、そんなに真琴の病気は悪いのですか?」

「いえ、真琴さんの病気は、手術すれば必ず治る病気です。

ですが、その場所が問題なのです……」


白衣を着た先生と呼ばれた初老の男性が、タブレットを操作して画像を見せる。

そこには、CTで撮られた脳の中心付近の画像があった。


「ここです。

この場所の腫瘍を、手術で取り除ける医師は世界に数えるほどしかいません。

それに、手術費用だってバカにならない……」

「そんな……」

「先生、何とかなりませんか?

誠は、娘は、まだ、十六なんですよ?」

「……」

「先生!」

「一つだけ、手がないわけではありません」

「それは、何ですか?」


ためらう医者であったが、目の前の必死の目の両親を見て話し始める。


「お二人は、ファンタジーダンジョンパークというところをご存じですか?」

「……ええ、娘が入院する前に、何度か行きましたが……」

「あの場所は、実は魔法技術が進んだ場所なのです。

そして、そこには医療も入ってくる……」

「先生? 何を言っているんですか?」

「……いいですか?

ダンジョンパーク内には、魔法医療をしてくれる専門医がいるのです。

そこならば、娘さんを完治させることも問題ないと思います。

……現代医療では難しい手術も、そこならば可能だ」

「せ、先生? あそこはテーマパークですよ? 遊園地です!

ファンタジーとリアルを、ごっちゃにしないでください!!」

「ファンタジーとリアルを、ごっちゃにした覚えはありません!

これは、れっきとした事実なんですよ!」

「……」

「先月のことです。

ある大物議員の娘さんが、癌のステージ4と告げられたそうです。

その娘さんは絶望しました。

ところが、翌月の定期健診で癌の姿がきれいに消えていたそうです。

担当医は困惑して、精密検査を受けてもらいましたがその娘さんは健康そのもの身体を手に入れていた。

……もう、お分かりですね?」

「その娘さんを治したものが、ダンジョンパークにいると?」

「はい、医師の間では有名な話です。

ダンジョンパークの医療にかかれば、欠損した部位も治療することができるとか言われていますが、これは噂でしょう。

ですが、治った事例があるのです。

娘さんの、真琴さんのこと、ダンジョンパークにかけてみませんか?」

「……」


その後、両親は医師の紹介状を持ってダンジョン企画を訪れ、ダンジョン内での治療を許可された。

そして、娘の真琴さんは、ダンジョン内にある町の医者に診てもらい、病気治療のポーションと治癒魔法で、完治した。


嬉しさのあまり、このダンジョンパーク内での治療のことをSNSで発表したため、瞬く間に拡散し大変なことになるのだが、それはまた別の話……。








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