第163話 魔物投入



Side 五十嵐颯太


石の大橋の中央部まで王国側が占領している。

しかし、ゴーレム騎士があっさりと倒されてしまったな。


もっと、強い魔物の魔石を使ったゴーレム騎士を用意しよう。

オークの魔石で作ったゴーレム騎士は、あっさりと負けたからな。

それと、何体かの魔物を用意する。


まずは、炎を吐くファイアータートルだ。

あの亀の怪獣のような見た目だが、大きさはバス程度だ。

どっしりとした見た目に、口から激しい炎を吐く魔物だ。


次に、吹雪を吐くコールドタートルだ。

極寒の大地や、高い山の頂上付近に普段は生息する魔物だ。

ファイアータートルと変わらない大きさで、頼もしさも同じだ。


この二体が加わるだけでも、王国の騎士や兵士などすぐに追い払ってくれるだろう。

後は、地球の武器を持ったゴーレム兵士を用意する。

ガトリングガンを持った、ゴーレム兵士たちだ。


まあ撃ち出すのは、弾丸ではなく土属性の魔法弾なのだが、それでも連続で撃たれればただではいられないだろう。

さらに、炎と吹雪の攻撃で、騎士たちが装着している全身鎧などはボロボロになるはず……。


「それに、あの辺りはダンジョンだからな。

死んだりすれば、ダンジョンに吸収されて終わりだな」


ん~、考え方がダンジョンマスターらしくなってきたかな……。




▽    ▽    ▽




Side ジャニス


「ジャニス、マスターが新しい戦力を送ってくれたわ。

この魔物たちを指揮して、王国の騎士や兵士を倒すのよ」

「分かりました!

見ていてください、エレノア様!」


エレノア様の報告で、私が負けたことがダンジョンマスター様に知られた。

叱責覚悟で、エレノア様の所に行くと新たな戦力となる魔物を紹介される。


そして、この魔物たちと協力して王国軍を倒せと言われた。

次こそは、王国側を撤退させてやる!


「第一列に、新たなゴーレム騎士を配置!

そして、第二列にはファイアータートルとコールドタートルを配置する。

第三列には、ガトリング兵士たちよ!

それと、弓隊には援護をお願いするわ!」

『『オオン』』


ゴーレムたちの返事を聞いて、私たちは大橋に向けて出発。

今の場所は、バストルの町と石の大橋の間にある休息地だ。

ダンジョン化したことで、魔物などの受け渡しが簡単になったな……


「では、出発!!」


こうして私は戦力を整え、再びブリーンガル王国側に戦いを挑んだ。




▽    ▽    ▽




Side ブロー


負傷した騎士や兵士たちを後方へ送り、新たな騎士や兵士たちが交代した頃、伝令が大声をあげながら走っていた。


『伝令! 大橋の向こう側より、新たな魔物が近づいてきている!!

すぐに戦闘準備に入れ!!

繰り返す、すぐに戦闘準備に入れ!!』


「ブロー! 戦闘準備だ、剣や盾の手入れは済ませたか?!」

「ああ、済ませてある。

いつでも、いけるぞ!」

「整列!! 整列を急げー!!

兵士たちは、後方から運ばれてきた槍を持て!

弓隊と魔術師隊に、援護攻撃を要請しろ!」


伝令が走って行ったあと、すぐに戦闘準備が行われ魔物たちが姿を見せるころには、俺たちは戦闘態勢になっていた。

再び姿を現したゴーレム騎士たち。

今回の戦いも、前回と同じく勝利に終わるなと思っていたところ隣にいた同僚に注意される。


「おい、ブロー、油断するなよ?

今度の敵は、前回とは違うゴーレム騎士だぞ」

「違う? 見たところ同じにしか見えないが……」

「いや違う。武器も防具も全く違う。

それに、動きもかなりいいみたいだ。

これは苦戦しそうだな……」


俺の目には、前回とそう変わらないゴーレム騎士にしか見えないが、こいつの言うことには根拠があるからな。

それに、経験もこいつの方が上だし、ここは油断なく全力を出して戦おう。


「おい! 後方に何かデカい魔物がいるぞ!!」

「おいおい、あれはタートル系の魔物じゃないか?

とすれば、防御力がかなりあるぞ……」

「てことは、倒すのが大変ってことかよ……」


「私語を慎め!!

前衛! 戦闘態勢!!」


指揮官の怒号で、俺たちが気合を入れ直して戦闘態勢なった時、後方から矢が飛んできた。

さらに、魔法攻撃も行われ始めると俺たちは上官の命令で進軍を開始する。


「援護攻撃が来た! 全員進軍開始!!

魔物どもを倒して、後方軍の道を作れ!!」

「「「オオ!!」」」


俺たち騎士隊が進軍すると、ダンジョン側のゴーレム騎士たちも向かってきた。

もうすぐ両騎士たちがぶつかるといった瞬間、一部のゴーレム騎士が両側に飛んだ。


「何っ?!」

「何だと!!」


驚いた俺たちが、次に見たのはファイアータートルが吐き出した炎の赤い色だった。

両側に飛んだゴーレム騎士は、この吐き出された炎の射線上にいたのか!!


「ぎゃあああああ!!!」

「熱っ!!」

「クウゥゥ!!!」


俺は素早く盾を構えたおかげで、炎の直撃は免れたが盾のなかった右腕が炎の直撃を受けてしまった。


「熱いぃ!!」

「ブロー! クソッ! ゴーレム騎士が!」

「グハッ!」

「グアアァァ!!」


前衛の騎士たちの中に犠牲者が出て、槍を持った兵士たちが援護に出てくるが、今度はコールドタートルの吹雪が吐き出され、寒さに体が縮こまってしまう。

熱さの炎と寒さの吹雪の攻撃に、ゴーレム騎士たちの攻撃が加わり俺たちは翻弄され犠牲者がどんどん増えていった。


「後退だ!! 後退しろ!!

援護攻撃! 騎士たちの後退を援護するのだ!!」

「ブロー! 後退命令だ! 逃げるぞ!!」

「りょ、了解!」


何とか助かった同僚とともに、戦線を離脱するために後退した。

しかし、ゴーレム騎士たちはなかなか見逃してはくれず、犠牲者が増えていく……。

さらに、ファイアータートルの炎攻撃が容赦しない。


盾の表面が少し溶けながらも、何とか戦線から離脱することができた。

死傷者多数、俺たちも重傷を負ったため後方へ送られることに……。







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