第141話 テイムできる対象



Side 五十嵐颯太


学校が終わった後、このコアルームで作業するため、ミアたちを呼び出した。


「さて、新しく造るダンジョンパークだけど、みんなの意見を聞いてどんなものにするかが決まった」

「どのようなダンジョンパークを目指すのですか?」

「基本は、最初のダンジョンパークと同じだ。

ただし、第二ダンジョンパークには新要素を加えることになった」

「新要素?」

「テイム能力だ」

「……いいかもしれませんね」

「仲間になる魔物や幻獣などから、ファンタジー世界を肌で感じる。

ダンジョンパークの目的と合っていますし、私は賛成です」

「私も賛成です、マスター。

でも、問題が一つ……」


ミアも賛成してくれたし、エレノアも賛成してくれた。

ソフィアも賛成してくれたが、問題か……。


「テイム対象の問題か?」

「はい、マスターも気づいていたんですね?

動物、幻獣、精霊、妖精、どれもテイムする場合、死を覚悟するような危険はないと思います。

ですが、魔物は違います。

テイムするなら、戦わなければなりません。弱らせるために。

そうなると……」


そうなんだよな……。

魔物の場合、必ず襲いかかってくる。それを何とか戦って弱らせ、屈服させることでテイムできる、所謂主従関係なんだよな。

そうなると、テイムする側に戦力が求められるわけだが……。


「戦力が必要になってくるんだよな。

でも、そうなると魔物をテイムするのにお金がかかってしまう」

「そうですね……。

ダンジョンパークに来る人達に、戦えと言っても、すぐに戦える人は少ないでしょうし」

「おそらくだが、テイム目的に来る人って子供か女性が大半だと思う」

「それなら冒険者なりに依頼を出して、となれば懸念しているお金の問題が出てきますし……。

こちらで負担するわけにもいきませんから、困りましたね……」


子どもの魔物なら、まだテイムしやすいんだが、中にはドラゴンをとか言いだす者がいるだろうし、どうすればいいのか分からないな。


「……ところでマスター。

魔物のテイム場所は、どうするんですか?

フィールドを使用するなら、階層で魔物が出現するようにしないといけませんが……」

「ああ、それならテイム魔物が出てくるダンジョンを考えているんだ。

それも、テイム専用の魔物が階層ごとに出てくる感じで考えているよ」

「……それなら、何とかなるかもしれません」

「ん? エレノア、何かいいアイデアがあるの?」

「階層ごとに、テイム可能な魔物だけを出現させるなら、下層に行くごとに強い魔物が出てくるようにできますよね?」

「それはもちろん」

「となれば、下層の魔物はドラゴンなどの強い魔物となります。

強い魔物は、素材や魔石などが高く売れますからそれを褒賞にすればいいのではないでしょうか?」


なるほど、テイム目的の人はテイムした魔物を。

で、雇った冒険者などには、それまでに倒した魔物の素材や魔石などを売ったお金を報酬にするわけか。

確かにテイム可能といっても、100%テイムできるわけじゃないからな。


テイムできるまでには、何匹も倒さないといけないこともある。


「うん、それなら報酬が足りないときはこちらである程度補填するのもありかもね」

「そうすれば、冒険者も雇いやすいと思います。

それに、テイム専用の部隊を結成する商会ができてもおかしくないですね」

「商人は、儲かると分かれば飛びついてくるか……。

よし、その方向で考えてみよう」

「「「はい」」」


後は、何のためにテイムするかが問題だけど、それはテイムする本人の責任だ。

こちらは、バックアップを手厚くすることを考えよう。




▽    ▽    ▽




Side 五十嵐颯太


次の日、高校の教室で凛たちに第二ダンジョンパークのPV撮影に参加しないか聞いてみた。


「宣伝動画だろ? もちろん参加するぞ!

前回の宣伝動画も面白かったし、今回はテイム能力を前面に出している感じがいいな!」

「台本読んだけど、本当なの?

幻獣をテイムできるって! だったら私、ユニコーンがいいな~。

真っ白い、一角獣のユニコーンに乗ってみたかったのよね~」

「星野、お前処女だったか?」

「ハァッ?!」

「ブグッ!!」


あ~あ、陸斗の奴、思いっきり殴られた……。

しかも、セクハラのおまけつきとは……、ある意味勇者だな。


「五十嵐君」

「は、はい!」

「ユニコーンって、しょ、しょ、処女じゃないと乗れないってこと、ないよね?」

「え~と、一応処女じゃなくても乗れるようにしようと考えているけど……」

「何っ!! 颯太! お前は伝説を汚す、ブガッ!!」


あ~、また殴られたぞ陸斗の奴……。


「あんたは黙ってなさい!

続けて、五十嵐君」

「ああ、一応乗れるように考えてはいるんだよ。

そうじゃないと、乗れる女性が処女だって宣伝しているようなものだからね。

乗るだけでセクハラになるような幻獣は、少し考えて修正しているよ……」

「そう……。

でも、注釈は必要ね。伝説のユニコーンとは違う仕様にしていますって」

「そうだな。その辺は、ちゃんと説明を加えるようにするよ」


となると、バイコーンもそうなるのか?

確か、バイコーンはユニコーンの伝説の逆になっていたような……。

幻獣は、その辺の伝説を調べておかないと大変なことになりそうな気がする。



「ね、ね、五十嵐君。

妖精はどう? 大きさは、伝承にある大きさになるの?」

「ああ、妖精は伝承にある通りの大きさになる予定だ。

手のひらサイズ、てやつだな。

ただ、悪戯好きというところをどうするかは少し考えている。

話の中には、悪戯で人を殺すなんて話もあるみたいだし……」

「……それは、修正が絶対必要よね」


佐々原が、心配する妖精のサイズは手のひらサイズで大丈夫なんだが、問題は悪戯好きというところだ。

いろいろ調べていて、人を殺すような悪戯をするという話を読んでしまった。

これは修正しなければと、考えたよ……。







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