二十三話、最低限の役割
「アルスさん!」
先ほどまで、少女の視界の中で黒
背中に
(せめて
何もできなかった。
それ自体に有用な補助の機能はない、だが
「ッ。……リ、ノ」
「
数秒意識を失っていたアルスが目を開ける。しかし
病体の対処法を知らないリノには、ただ近くで
「あの、人は……?」
黒
「わかりませんが、
「そっか…………なら、まだ
「
声で静止する。自分でも使えそうな武器がないか、必死に周囲を探した。
そしてリノは、確かアルスの持ち物だった
「これは……? いえ、
「あっ……はは。いや、まぁ……。今のうちに
動かない身体の中視線を動かしたアルスは、リノが手に取ったそれを見て苦笑いを
昼に買ったそれは、確かにリノに
「リノ。それは君のものだ。
「え?」
それをアルスは、リノの物だと言った。
「
何かが落ちてきた。その
どごんというような
「…………」
ふらふらと、重心の定まらなかった黒
だがよく見れば、
「――ありがとうございます。アルスさん。あとは任せてください」
「いや、
「安心してください。たとえ
「――そっ、か」
「はい」
黒陰がまだ
動こうとする身体を、しかしリノの返事を前に動きを止めた。
直接的じゃない。けど、確かにリノは自暴
「【
自分にできる役割を
時間
「――」
全部終わった。時間
強い人が来て、王国の衛兵も
最後の最後に
(……ああ)
けれど、だけど。
動いてくれないこの身体が、
(
もっと動けたらと、そう思った。
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