十五話、敵は魔物じゃない
そろそろ熱も冷め料理もほとんど
「自己
「はい?」
「いや、ほら。
仲良くなるには自己
「言いたくないことは言わなくて良いからさ。話せる限りで」
「…………わかりました」
乗り気かは分からないが、提案に乗ってくれた。勢いを殺さないように、アルスはそれ
「それじゃあ
「ああ、
「うん、
「……
味を思い出しているのか、満足そうに顔を
お手本というか、いや自己
「次は
「うん、うん。…………え? 年が同じ……?」
「待って、え? 同い年なの
「? 多分そうだと思いますが」
――
完全に自分よりも年下だと思って接していた。いや、年上じゃなかっただけまだましか。それでも不敬というか、
「ごめん。年下だと思ってた。ちゃん付けとか。本当にごめん」
頭を下げる。勢いがあったため、もう少しで机に頭をぶつけるかというぐらいには
「いえ、別にこれから先改めてくれればそれで。そんな頭を下げるほどではないかと」
「うん。ごめん。気をつけるね」
頭を上げ、改善することを約束する。
しかしリノはアルスがどうしてそこまで必死なのかを分からず、そのまま話を続けようとした。
口に出さないまでも、疑問として残る事を。
「ついでに、そうですね。ここ数日の
「それは……いや、分かった。けど無理はしないで。ゆっくりでいいよ」
机の下に下げた手のひらを
リノは語る。要約すると、こうだ。
それぞれ散らばり
リノはその人と別れた後、
後ろを気にし続けなければならない
「それが――」
「――はい。あなたが借りていた宿です」
「……」
(それが、リノが今
二年間の
それ以上、自身なんかでは足りないほどの
命の
(そして今もまだ、それに
常に命を
自分と大して変わらない
「なら――」
その先を口にはしなかった。それが成せるほどに強くはないと分かっているから。
理想はそれ。けどきっと届かない。だから現実的に
(
せめてこの子が
例え守り切るなんて大事を
知らず知らずに下を向いた顔を上げる。
「よし!」
「っ!?」
「じゃあ
勢いよく調子を上げて、無理矢理に表情を作って。空回りだとしても空気を
もうこれ以上この場で悲しい話はさせない。
「……話してくれてありがとうね」
「別に、必要だっただけです」
「だとしてもだよ。うん」
この話はもう終わりだと、話題を変える。下らなくて、中身がない。そうかもしれない話題を拾う。
(……
⚔
酒場から出たアルスたちは、そのままに宿への道を
この大陸の基準で成人に満たないアルスと、人目を
先ほどの話を経て、これからの予定を立てる必要があるだろう。そうなるとむしろ
「じゃあこの後はこれからの方針を立てるってことでどう?」
「構いません」
この先の予定を立てながら歩くアルスには
不安ではあるがそのままでは空気は暗いままだろうと、アルスは意識的に楽観でいようとする。
当分は、アルスとリノは
しかし時間は待ってくれない。
「
「うーん。……協会なら
「……申し訳ないですが読み書きに自信はありません。できれば口頭か
「そっか。けど
「文字が読めない
「だよねぇ……。どうしよう
それは
分からない事は多く、しかし何とかして見せる。
話し合いにもよるが、早ければ
――それは飛来した。
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