十三話、何はともあれ生き延びて
日は落ち、
王国エルラインの三番街に建てられた酒場では、一仕事を終えて飲みに
そしてその中には
「では! 無事に帰って
「はぁ。かんぱい?」
何度か利用しているために勝手知ったる顔で注文を終えたアルスは、一足先に届いた飲み物をリノに
そして
「ん? どうしたの」
「いえ、一応お金に困っているんでしたよね。こんなところで使っていいのですか?」
「まぁまだちょっとは残ってるし、それに後日にでも
初めての仲間を、リノとの出会いを。そう口にしながら、届いた料理に
一応、アルスが受理していた
(まぁ苦労というか
月が頭上を
次に目覚めた時には、アルスは天幕のもとに
聞くには、森で意識を失っているアルスに代わり、リノが人手を呼んだらしい。
『
そして
『ほれ、こいつを持ってけ。死んでた
その言葉通り、アルスは協会に提出しほどほどの金銭と
ちなみにアルスに使うつもりはない。自分の
(それ以外に何かあったっけ)
舌と
目覚めてから馬車を借り、
『――にしてもアルスよ。お前こんな
「…………」
その後もやれ同い年の方がいいんじゃないか? とか、
動くことができないアルスを前に一方的に茶化すだけ茶化して退散したホーレンを、いつか仕返してやると熱意を燃やす。
(そもそもミアは同期でメアさんは受付をしてくれているだけ!
こんなずっと
(自分で言うのも
夢を追って、そう言えればよかった。自分が
幸いなのはそれをリノに聞かれなかったこと。まだお
(やめよう、この話)
とりあえず当初の目的通り、アルスは目前の料理を楽しむことにした。割と早い調子で、育ち盛りの食欲を
それを見て、
しかし
「食べないの? あ、ごめん。
「いえ、単純に疑っているだけです。先ほど手を付けていたその料理を頂けますか」
「食べかけになるよ?」
「構いません」
そういって、アルスから料理を受け取ったリノはゆっくりとそれを口に運ぶ。そして
「えっと、ど、どう?
「……
またゆっくりと、口に運ぶ。アルスと比べれば非常にゆっくりだが、それでもリノも料理を食べ始めた。
アルスよりも小さい
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