十二話、契約
そう言って立ち上がろうとして、失敗した。
手に力が入らず、身体もまともに動かない。
「あれ?」
苦戦するアルスを前に、リノは支えるようにして手を
「ありがとう。
「自身の現状を見た方が
「あはは。痛いのは分かるんだけど、逆にそれ以外分かんないっていうか。月明かりのお
日はとうに
夜行性の
まともに歩ける状態ではない、負傷した身体ではあるが。
「じゃ、行こうか」
足を
「支えますよ」
「えっと、
「アルスさんがやってくれたことに比べれば足りないでしょうが、それぐらいはやってみせます」
次の支えを探すように宙を泳ぐアルスの
しばらくして少し、着実に
目線の先、
「
「強いですか?」
「一応、
なら
無茶だ。少女の細い
「
それもまた、無茶だと。
「っ!」
その手が宙を切る。よろけるようにしてアルスは身体を木にぶつけた。
(なんでこう、
そうぼやくアルスを、
現れたのは角のついた
戦力にならない負傷者と
「――結局、こうなりますか」
「大、丈夫」
「無茶をしないでください。
「だと、しても」
折れて痛んだ身体は一度止まればもう動いてはくれない。
「【
氷の矢ではなく、
ほんの少しの時間
「アルスさん、よく聞いてください」
「後で、なら」
「いえ、今です。今だからこそ、
「お願いがあります」
少女は自身の首筋へと手を当てた。確かめるように、見せつけるように。その少女らしい
そこにあったのは、銀色の鉄。アルスの視線が追いつくと、
「
「
「だから、あなたが
「問題点、危険な点もあります。話すと長くなりますが、基本的にアルスさんは主人としての立場になりますから
「待って……追い付かない…………」
「すみませんが待てません。だから決めてください。今ここで、なるべく早く。《わたし》私と
鳴き声が聞こえる。それも複数。人じゃない、
もしかすれば、姿を見失ったことで
その一
「手短に言いましょう。
「
「
真
「一つだけ、聞かせてほしい。その
「――正直にいえば、わかりません。保証できるのは、たとえそうだったとしてもあなたに
「…………本当に、難しいなぁ……」
困ったように、考えるように。少年は
目を
「わかった。
「では、手を貸してもらいます」
少年の手を少女は
光が収まり、変化を示すように小さな風が
「情けないけど、この先を任せてごめん」
それを前に、少女は久方ぶりに体内に現存する以外の
向き合っていた少年に背を向ける。そして少女は敵である
「十分以上にあなたは戦いました。今度は
働きに
少女は
「【――】」
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