十一話、暴力の化身
「んっ!?」
乱暴だなんだと言ってられない。手早く、少し雑に少女を
――
(最悪だ。最悪だ。
どちらにせよ、結果として昼間のあの
「
「いえ、構いませんが一体何が」
「昼間のもう一体がこっちに向かってきてる!」
「それは……」
負傷や
「っ」
それでも走り続けるしかない。
体を
現在地はそれこそもうすぐで森を出る。だというのに安心感など全くない。当たりどころが悪ければ
「アルスさん、もうほとんど追いつかれてますっ」
「そんなに!?」
アルスの身体を
(後ちょっとだっていうのに! 横に
だから走り続けるしかない。
「アルスさん、
リノが言葉を発する。それを知覚できても、
「え? ごめんもう一回言って! 聞き
「
「
しかしどうする。重ねるが、アルス・リーンは
そしてリノは現在
(
風
「けど――ああ、やってやるぅ!!!」
リノを
覚えている
「【――大風よ】」
「うわ!?」
「っ」
案の定、それは暴走した。集まっていた風が解き放たれるようにして、周囲へと勢いよく散る。
身体を丸め
「――っか、はッ!」
そしてアルスは、背中から勢いよく木の幹へと
その横を、人
(痛い、痛い痛い!)
痛いとしか思えない。どこどこが痛いとか冷静な思考なんて働かない。
過ぎ去る暴音をアルスは聞き
その最中でもリノの安全を優先したのはできた所業だが、その結果受け身も
その
それが
⚔
「……る……ん……アルスさんっ」
「んっ――つぅっ!?」
呼びかける少女の
ぼやけるような
「いったあッ!?」
そして地面へと勢いよく
骨に
「つつ」
さするようにして感触へと意識を向ける。痛みを無視できるように。
そして見守っていたのか起こそうとしていのか
「すみません、アルスさん」
リノの声に力はなかった。良く見れば
「いいよ。
「…………」
「それよりここはまだ森の中だよね。あれからどうなったかって分かる? 多分
アルスが最後に見たのは風
「まぁ……いいや。それよりもっ、ッ、森を出ないと」
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