七話、ぎこちない距離感
息を
「ただいま……」
「……」
「うわ!? いや、そうだ。そうだった」
自室にいる少女を見て飛び上がり、
一見ぼーっとしているように外を見ていた少女が、アルスの方を見た。
安静のために
「……」
「あ、いや。ごめんちょっと走ってきたから、息が上がってて」
それを聞き、しかし少女はアルスをじっと見つめ続けた。
(えっと、あれ? まだ疑われてる?)
アルスがそう思い、勝手に冷や
何か自分に問題があるのかと、自分の身体を見ては
「…………」
「えーっと……」
何かを言うべきかと言葉を探すが、適切も何も何を言えばいいのか。
「あ、お
それは単に自分がお
少女の分も買ってきた
けれどどれだけ健康だろうと病人だろうと食べたものが消化してしまえばお
「じゃあ、よし。買ってくるよ!
だから待っててと。そう言い残してアルスは宿を飛び出した。
それから数分。少女も多分一回は目にしてるであろうものを
包みを開ければ小麦の
「ごめん何が食べれるのか分からないから同じものを買ってきちゃった。
そう言って包みに包まれた
一口
「ん? …………え? これ?」
「……」
両方とも同じ商品だ。もしかすれば製造過程や職人の気分やちょっとしたことによって味が本当に少しばかり
小食だから残るだろうとは思うが、けどそれとこれとは
首を
(んん??)
そう時間をおかず少女は料理へと口つけ
同じ商品など何一つない。すべて職人の手作りだ(多分)。なんてそう
目の前の少女が少女なりに料理を
(やっぱり
新品として返ってきた
声に出すことなく、食べることに集中した不思議と
⚔
食べ終わり小休止も終えて、アルスは少女の近くに
「さて、身体の方はどう? 痛かったり苦しかったりとかは」
気になるのはやはり体調面。
あとは心の方だ。精神面。知らない場所に
「…………」
太陽が
「そういや、えっと。エルラインって
大陸には七つの種族がいる。そしてそれぞれが大きな集団を成したりもしている。エルラインが
種族の得意なことや生活、活動する領域などを定めて昔から、アルスが生まれる数百年前からそれはこの大陸に根付いていた。種族特有の法が作られたり、逆に他種族に対して
逆に中立国とは、そういう慣習などを
「この近くだと……アルミニアかな」
地理的にエルラインから一番近い中立国を上げる。残念ながらアルスはただ一度も足を
森で
「アル……ミニア」
「うん。確か立派な
行ったことのない場所を想像するのは難しい。
(
知り合いの
声に出さず、しかしきっかけにもならなかったと
小さく、細かに。
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