六話、冒険者仲間
目覚めたとはいえ、
引き続き物資の補給をするために街を歩くアルスは、新たに増えた問題に頭を
取り合えず意思
少女が目覚めた。それだけで一つでも進んでいるのだ。身体が回復すればもしかしたら自分で動き始めるかもしれない。
「おーい。アルスだよねー?」
そうやって考えながら歩いていたアルスは、呼び止められた。
「ミア」
ミア・エイシー。アルスと同じ時期に
その格好は動きやすさを重視しながらも、
歩きながらも飲める飲料を手に、空いた片手を
「聞いたよー。
「……それを知っている人は今のところ
「うん。ホーレンさんが笑いながら言ってた」
「ホーレンさん……ッ!」
アルスにとって
(今度
同じく、ホーレンの秘密をばらしてやろうとすら
しかし
「まぁ、いいや。そうだよ。ドレストがちょっと様子がおかしくってさ。そっちも数日は気を付けた方が良いと思う」
「りょーかい。数日はドレストを
会ったのも何かの
太陽は真上を少し
「そういやアルス。そろそろ
「厳しいも何も、最初から複数人が
空腹を感じる小腹を
「そう、それだよ。今回だってたまたま無事だったって可能性が高いじゃん? 安全を重視して
「……」
それは
五体満足で居るのは、単に可能な限りの危険を
「もう二年だよ。二年。
「……それも、そうだね」
アルス・リーン。
ミア・エイシー。同期の数人と力を合わせて
同じ時期、同じ場所から始まったというのに、ここまで開きが出ている。それは
「でも、
「足を引っ張れない。
「よく覚えているね」
ミアは
そうして断るごとに、
「そりゃあ覚えてるよ。だって
「――そんなには……いや、そうかも」
アルスが
アルスは、ミアとの長い付き合いになるきっかけを思い出した。
『
『
そしてアルスとミアの
そして『黒金級』という
そのために今の内から
同じ目的を見る者としてアルスを
「足を引っ張る基準は人それぞれ、そして
「……一つも否定できない」
「そうでしょ? 今からでも仲間になっちゃえばいいじゃん。知らない顔って訳じゃないんだしさ」
ミアの相談は、実に
何度もこれを
――例えそれが、アルスがこの二年
いつの間にか、
「どう?」
それでもアルスの中にあるのは、迷いと、
(ミアの提案を受ける事が最善だと分かってる。こうやって何度も
けど、でもと。受けるべきだという
そうして
アルスには、まず解決すべき問題がある。翠髪の少女の事を。
(そうだ。あの子の事を放ってはおけない)
「ちょっとした事情があるから、やっぱり今は無理だ」と、そうアルスは口にしようとした。
それよりも前に、ミアはあることに気付いたとばかりに声を上げた。
「あっ。けど武器とか今ないんだっけ」
「――え? ああ、うん、そうだね。そのために朝、
「そっか。そうするとまずは
「いや、それは流石にぃ――ッ!?」
悲鳴を上げるように、
恐らく「どう?」から聞いていたのだろう。立ち止まった
まるで、そう。女性に金をたかる
「ごめんミア! やっぱり
「え? 何で走り出して――ちょっと! 死なないでよ!? お願いだから!」
その目は
話を
それに
(あれ絶対
しかしアルスは、それに助けられたとも言えるだろう。
(…………)
その胸の内を察せる者はいない。
⚔
「……はぁ。まぁ分かってたけどね」
走り去る
ミアにとって、アルスはやはり同じ
「……」
ミアにも予定がある。この後は同じ
(本当に、心配なだけなんだけどね)
思い返すは
その時でさえも少年はある種危なっかしかった。不慣れな
同じ場所から始まって、ミアは銀級に
アルスは、実力だけで言えばミアと大差ないのだ。だけど銅級に止まっているのは、二つほどの理由があった。それを思えば――やっぱり仲間になって
「危なっかしいなぁ……」
多分このまま
一日二日の仲じゃない。知らぬ間に死んでいても夢見が悪い。けれど結局
だから
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