第4話 食材
「こんなやり方で食べ物を手にいれるんですか?まさに生きる事は戦う事ですね。」
「もちろん、普通に農業、漁業、酪農もやってるよ。皆がんばって普通に働いてるさ。ただ珍しい物が欲しい場合や、不作の年などには、こうするしかないんだよね。それに、別の理由でも
礼三が答えるが、さらにタムラも付け加える。憶えることが多い。
「
そうか。おそらく地下のはずで窓もないのに明かりがあって、平らな床に整然とした壁が並ぶだなんて、おかしな環境のダンジョン・オブ・ドゥームでは、
さらに礼三の説明。もう少し深く掘り下げる。
「ドゥームの迷宮の中のモンスターを駆除すれば、外に出てくるのを遅らせるし、最深部の『
「なるほど。だいたい分かってきました。では、目的の食材を採りに行きましょう。剣で戦う覚悟はできましたよ。」
目的の品は、赤い
「赤シソの量はもう十分なんだけど、クッキーの勉強も兼ねてるから、もう少し進もうか。」
「旦那、マナプールを2~3か所周ろうか?。」
マナプール。また新しい言葉が出てきた。魔法エネルギーであり
「ああ、それがいいね。クッキーは
そして4つ目のマナプールでは、先客がいた。
「オーク!まずいな。助けに行こうや、旦那。」
「クッキー、あの魔物、女の子はヤバいぞ。すぐに助けるんだ。走れ!」
見とれてる場合じゃないらしい。剣を正眼の構えに踏み込んだ。相手は身体が大きいうえに数もいるので、体当たりするつもりで突っ込む。勢いよく群れの真ん中に割り込むが、やはり肩や脇腹に何かがあたる感触。軽い痛み。いや、これくらい何の問題もない。
「あら、何処のどなたかしら? 加勢してくれるの? ありがとう。でも、あたしなら大丈夫だから。怪我しないうちに引っ込んだほうがいいわよぅ。」
右手の剣を振るったものの盾で弾かれたが、お構いなしに左拳でオークの顔面に殴り掛かる。礼三は剣を持ち走りながら火の魔法攻撃で、タムラは弓で、それぞれオークの群れをなぎ倒していく。
程なくしてオークの群れは、全て片付いたが、最後の1頭は彼女がナイフを投げつけ、眉間に刺さって絶命した。見事な腕前だった。驚いたことに彼女は何事もなかったように呼吸も乱していない。綺麗な立ち居振る舞いだ。
「引っ込んでいろなんて失礼なことを言ってしまいましたね。お詫びします。あなた方は、かなり手練れの冒険者だとお見受けしますが、この付近はダンジョンの中でも初級者も挑める低層域でしたので、早合点してしまいました。そして加勢していただき誠にありがとうございました。」
話し方も落ち着いている。礼三が返す。
「いえいえ、こちらこそ失礼しました。お怪我はありませんよね?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
弓で応戦していたため、やや離れた場所にいたタムラが走り寄ってきた。彼女の顔を見て軽く驚いた表情をして話しかける。
「おい、ひょっとしてクララじゃねえか? 久しぶりだな。セント・アイブスに帰ってきてたのか。」
「あれえ? タムラさん? わっ、元気ぃ?」
どうやら知り合いらしい。紹介してくれ。
「でもまあ、積る話はあとにしましょうよぅ。帰ってきたのには理由があって。ドロップ品はあげちゃうから、情報ください。この町の近辺のダンジョンのマナプールで金属の鉱石が採れるって聞いたの。私が所属してるパーティには必要なのよぅ。」
オークは煙になって消え、豚肉のブロックに替わった。店にとっては上等な食材なんじゃないか。しかも大量にある。
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