第五話

「驚いたね。まさか二一世紀になってもこの都市伝説を覚えてる人がいるなんてね」


 「ええ、覚えてるわ。そしてあなたの警告も」


 「俺の警告? ああ、将来の日本の事か? 残念ながら今の日本の危機はまだ序の口だよ」


(えっ? これが「序の口」??)


 「日本だけ『ノストラダムスの大予言』がある意味遅くなってから成就するようなもんだ」


 「ところで、ここは……?」


 「学校だよ。それも中学校。君の母校。ただし、一九九〇年当時の」


 (時が止まってる!)


 「君はバブル絶頂期当時、今の君や今の家族や今の社会を想像できたかい?」


 「できなかった」


 「ということは今の十年後もそう」


 「あなたは未来が分かってるのね?」


 「うっすらとね」


 「僕たち天邪鬼は占いも特技。ゆえにうっすらとだけど未来が何となく分かる。外れることも多いけど」


 「さあ、ここは君の逃げ場所じゃない。帰るんだ」


 そう言うとまたしても封印呪文を唱えた。そして職員室の鏡の前に立つ。


 「天邪鬼!」


 鏡が渦巻いていく。


 「次は二〇一一年ね」


 「楽しみに待ってるよ」

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