第2話 ペンフレンドを見舞う 💐





 まあ、そうなの、あなたたちがヨウコさんの息子さんたちと、そのご家族なのね。

 そういえば、ふたりとも眉のあたりなんか、少女時代のヨウコさんにそっくりよ。


 高校を卒業してから再会の機会はなかったけど、ペンフレンドとして長いこと手紙で交流していましたから、息子さんたちのことは、たびたびうかがっていましたよ。


 あら~、その手紙を持って来てくださったの?! うれしいわ。(*´▽`*) 

 そうそう、みんな、わたしからヨウコさんに差し上げた手紙よ。(*´ω`*)


 わたし、パソコンが苦手なものですから、なんでも手書きでね、それにヨウコさんも合わせてくださって、お互いに十数枚に及ぶ分厚い書簡を送り合っていましたよ。


 なんですか、いくら書いても書ききれない感じで、それだけ気が合ったということかしら。高校時代はクラスが違ったので、たまにお話するぐらいだったんですけど。

 



      💍




 そういえば、遅ればせにごめんなさいね、お別れに行かれなくて。

 なにしろ身体がこんなでしょう? もう遠出はできないのよ。💦


 そうなのね、あなた方ご家族だけで葬儀を済ませ、お骨は半分ずつ分けて手許供養なさっているのね、あ、一部を指輪にしてもらったのね、それはなによりだったわ。


 ヨウコさん「だれにも知らせず、気づいたら亡くなっていたという感じが理想的」と言ってらしたから、きっと感謝していらっしゃるわ、望みどおりにしてもらって。


 旧来のお墓というものが苦手で、あんな陰気なところに押しこめられるのは絶対にいや、樹木墓か散骨か手許供養かは息子たちに任せるつもりと言ってらしたからね。


 



      🐑🦥🦛🐖🥗🧀🌮🍰





 あ、そういえば……話が断片的になって申し訳ないんだけど、なにしろ、このごろ忘れっぽいものだから、思いついたときにお話しておきたいのよ、ごめんなさいね。


 あなたたちの父方のおばあさんの葬儀のこと、ヨウコさん、気にしていらしてね、あのときの行きちがいから次男は心を開いてくれなくなったって悩んでいらしたの。


 あなたたちのご両親が別々の道を歩み出されてから何年目だったかしら、それほど時間は経っていなかったと思うころ、徹郎さんのおかあさんが亡くなられたのよね。


 徹郎さんのほうから一方的に別れ話を持ち出されたヨウコさんは、葬儀に出席するつもりは全然なかったし、息子のあなたたちにも、出来れば参列させたくなかった。


 親せきからの白眼視を心配したからなんだけど、ご長男さんは自分の意思で通夜にも葬儀にも参列され、ご次男さんは思い悩んだ末に、お通夜だけの参列になさった。




      🎞️




 以降、ご次男さんとヨウコさんのあいだに溝が生じ一時は連絡を絶たれていた……わたしが聞いているのはそういう一連のプロセスだけど、それで間違いないかしら? 


 そう、よかったわ。ヨウコさんはああいう性格の方でしたから、何事も自分に都合よく脚色したり、大げさに言ったりすることを、ことのほかいやがりましたからね。


 ついでにお話しておけば、ヨウコさん、徹郎さん側の人たちから「離婚しても父親に変わりないのになぜ息子たちを会わせようとしないのか」と責められたらしいの。


 でも、それは完全な誤解だったのよね。ヨウコさんは一度としてあなたたちにそんなことを言わなかったはずだし、会うことを妨害したりはしなかったはず、でしょ?




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