君嶋 リツコ博士

 Side 黒月 淳


 =イージス施設内・別の尋問室=


 君嶋 リツコ博士。

 元ディスダガーの科学者だが組織を裏切り、斎条 エリカの協力者として働いていた女性。


 だが斎条 エリカのやり方に嫌気が差して来たのかイージスへの協力に前向きな姿勢を示している。


 斎条 エリカはセミロングの茶髪の女性で妙齢の女性相応な綺麗な女性であった。

 科学者畑の人間であるせいか目鼻立ち整った顔に赤いフレームの眼鏡が彼女の知的な雰囲気を引き出している。


「貴方も中々に損な役回りしてるわね。あの子の説得をね」


「で? 引き受けてくださいますか?」


 と、淳は尋ねる。


「構わないけど難しいわよ。ひねくれていて頑固だから」


「まあ地道に説得するしかないでしょうな」


「分かってるじゃない――」


 ハァとリツコ博士はため息をつく。


「ところで貴方は何者なの?」


 そして話題を切り替えるようにリツコ博士は黒月 淳の事を尋ねる。


「正直言うとエクスレイドのスーツは欠点はあるけど、それを補ってあまりある戦闘力があるスーツよ。それを相手に戦って取り押さえる事が出来るなんて――貴方何者なの?」 

 

「正直言うとそこら辺で拾ったとしか――偶々、本当に偶然手に入れたとしか言いようがなくて――」

 

 これは嘘でもあるが本当でもある。

 気が付いたら手にしていた力なのだ。

 それに正直に説明しても信じられないだろうし、こう言う形ではぐらかすしかなかった。

 

「ふーん。まあそう言う事にしておくわ」


 怪しまれながらもリツコ博士はその話題を打ち切った。


「そう言えばあの子――如月 明菜はいないけど?」


「ああ、あの子なら部屋の外で待機しています。刑事ドラマみたいにマジックミラーな窓ガラスから此方の様子を伺っているんじゃないでしょうか?」


「成程ね――で? 貴方はどっちが好きなの?」


「え?」


「斎条 エリカと如月 明菜」


「えーと、その、答えないとダメですか?」


「ふふふ、答えたら協力を考えてもいいわ」


 そう言われて照れながら黒月 淳は言う。


「如月さんが――でも、自分何かでいいのかなとか思って」


「ふーん。成程――何処が気に入ったの?」


「えーとそれは――」


 そんな話をしているとドアから如月 明菜が入って来た。


「どう言う会話しているのよ貴方達!!」


 と、顔を真っ赤にしながら叫ぶ。


「あ、丁度いい所にきた。この子、貴方の事が好きなんだって」


「君嶋さん――それは――」


 リツコ博士は笑いながら訪ねる。

 淳は戸惑うばかりだ。


「と、とにかく君嶋博士!? 斎条さんのこと協力してくれるんですね!?」


「まあ出来る限りはね?」


 それだけ尋ねると如月 明菜は黒月 淳を引っ張り出すようにして退散していった。



=イージス・人気のない廊下=


「で? 貴方私の事好きだって言う話本当なの?」

 

「はい――でも出会ったばかりだし、それに俺なんかより――」


「そんな自分を卑下しないの! と、とにかくその、あれよ、あれ――」


「アレってなに?」


「私も男のアレコレとか男女の付き合いのあれこれとかよくわかんないし……その……」


「その?」


「まず付き合うってことはデートからよね、うん」


「で、デートするんですか?」


「イヤなの?」


 顔を真っ赤にして明菜は尋ねる。


「いや、嬉しいけどさ――いいの? 自分で?」


 淳も顔を真っ赤にした。


「いいわよ。その前にアナタのこと、色々と教えて――」


「う、うん。信じられない話だけど――」


 そうして淳は自分の事を語り始めた。

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