黒月 淳と言う少年
高校2年生、黒月 淳はとあるゲームに熱中していた。
ヒーローになって変身ヒロインと仲良くなろうと言うコンセプトのゲームのプレイヤーだった。
そのゲームで黒月 淳は廃課金税として頑張っていた。
そして推しの子は変身ヒロインの一人――先程出会った如月 明菜ことメタルジェノサイザー明菜である。
黒髪ポニーテールに真っ白で赤いラインが入った全身タイツ、真っ黒なプロテクター。
そしてあの声。
あのプロポーション。
間違いなくイメージ通り――いや、イメージ通り過ぎる。
完璧なまでに如月 明菜だった。
この世界に来てかれこれ一か月。
謎の声に導かれるままこの世界に訪れて、ホームレス生活やネカフェ生活しながら犯罪組織の拠点を潰して資金調達をして生活していた。
そのせいで大きな組織の正義のヒロインに目を付けられたりもして、当初の目的だったメタルジェノサイザー明菜に出会うと言う目的も成し遂げたし、どうするか考えなければならい。
海外に高飛びでもしようか?
などとも考えるが、明菜と仲良くなりたいと言う気持ちは捨てきれず、とりあえずダラダラと現状維持をする方向で話を纏めた。
それに純粋に明菜の事が心配だと言うのもあった。
前回のハチ怪人とタコ怪人の戦いだってもしも自分が介入しなければと思うとゾッとする。
これはゲームではなく現実なのだと改めて思い知らされた淳であった。
☆
資金稼ぎはともかく一人で生きると言うのは大変である。
最初は変身できること、架空の世界に来れた事を喜んだが一週間も経つ頃には元の世界が恋しくなった。
それからゲームの知識を活かし、不安になりながらも悪の組織の拠点を潰しまくって資金稼ぎをしてどうにかネカフェ生活にランクアップ。
衣食住の重要性が身に沁みつつ、現在は変身ヒロインを助けながら悪を倒すヒーロー活動を行っていた――
☆
=現在=
「私の復讐の邪魔をするな!!」
『それでどれだけの人間を巻き込むつもりだ!!』
長い紫の髪の毛。
キリっとした瞳が特徴の整った顔立ち。
赤いハイレグレオタード。バストサイズ100cm越えの胸の谷間とへそ周辺、鎖骨や肩のラインなどが丸出しのエロい衣装。
白縁の赤いプロテクターを身に纏っている少女と戦っていた。
手には大きな大剣を持っている。
相手の名は斎条 エリカ。
またの名をエクスレイド。
明菜と同じく変身ヒロインである。
犯罪組織に兄を奪われ、その復讐のために戦い、周りの被害などを知った事かと暴れまわる困った女の子である。
「黙れ!? お前に私の何が分かる!!」
『兄を失って復讐に突っ走ってこんな惨状を引き起こしているぐらいしかわかんねーよ!!』
戦闘は終わっている。
と言うか淳がさっさと終わらせた。
そうしないとエリカが周囲を巻き込んで怒り散らすかのような戦いをするからだ。
それが気に食わなかったのか、エリカは何度も復讐の邪魔をしてくる淳に攻撃を仕掛けてきたのだ。
「なら――」
『ならなんだ!? 復讐すんなとは言わねーがやり方を考えろと言ってるんだ!! このままじゃとお前は独りぼっちになるぞ!!』
「だまれえええええええええええええええ!!」
そしてエリカの必殺技――大剣が発光し、その一撃を――淳はワザと受け止めた。
「どうした!? 余裕のつもりか!?」
『付き合うよ――』
「なに?」
『お前が気が済むまでトコトン付き合ってやる!!』
「なにを――馬鹿かお前は!?」
『ああ、バカだよ!! こう言う時、物語の主人公は気の利いたセリフの一つや二つ言うんだけど、それが思いつかない馬鹿だよ!! これで終わりにしろ――』
「きさまはぁああああああああ!!」
☆
結局、エリカが根負けした。
エネルギーが尽きたのもあるだ。
そして周囲を他の変身ヒロイン達に包囲される。
『すいません。この子も悪い子じゃないんです。ただ復讐でどうにかしちゃってただけなんです。どうかこの場は見逃してくれないでしょうか?』
と、必死に淳は頭を下げる。
「馬鹿かお前は――そんな事で見逃してくれるワケないだろう」
『ですよね~』
エリカの言う事ももっともだ。
だからこの場は逃げようかと思ったその時だった。
「じゃあ私達が身柄を拘束させて貰うわ」
と、ここで現れたのが如月 明菜だった。
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