気がついたら最強装備で変身ヒロインだらけの世界に転移してました。

MrR

プロローグ

 Side 如月 明菜


 メタルジェノサイダー明菜。


 それが組織に改造された明菜のもう一つの名前。

 

 黒髪のポニテール。

 整った凛々しい顔立ち。

 右目はスカウ〇ーのようなマシンで覆われている。

 全身、真っ白で赤いラインが入ったタイツに漆黒のプロテクター、ガントレット、ブーツを身に纏い、肩にバインダーを装着。

 

 そして何よりも目を惹くのが100cmを超えるバスト。

 それで数えるのが億劫な程に明菜はイヤな思いをしている。


 今もそうだ。

 昔ながらの黒タイツの戦闘員。

 怪人に囲まれているこの状況。


 皆やらしい目で明菜の体を見ていた。


 だが我慢しなければならない。


 世の中には自分よりも大きなバストを持つ女性、少女はいるし、変身ヒロインだっているのだ。


 そう自分に言い聞かせながら明菜は戦う。


 あっと言う間に超人的な身体能力で戦闘員を叩きのめしていき、敵の指揮官であるハチ怪人と一対一の勝負に持ち込むが――


「動くな!! こいつらがどうなってもいいのか!?」


 と、まだいたらしい二足歩行のタコ怪人が触手を巻きつけながら女の子二人を人質に取りつつ、衣服を破いていく。


 断ればどんな酷い目に遭うかなど分かり切っている。


 敵はそう言う連中なのだから。


 ともかく明菜は味方の応援を待つために一時の恥辱に耐える事にした。


「そうだ、それでいい――」


 そしてハチ怪人が胸に手を伸ばそうとした――


 その時――


「ぎゃあああああああああああああ!?」


 タコ怪人の断末魔が響き渡る。

 増援にしては早すぎる。

 仲間だろうかとも思った。


「なにあれ――」


 明菜は疑った。


 ヒーローと言うには禍々しい姿だった。


 昆虫の赤い複眼に触覚。

 銀色のボディ。

 刺々しい突起物。

 メカメカしいベルト。

 そして黒いマント。

 見事にラスボス臭が漂っている。

 手には禍々しい悪魔の羽を模した鍔(つば)に紅の刀身の剣を持っている。


 新手の敵戦力か、第3勢力か何かだろうかと思った。

 

『おおすげぇ――よくきれるわ』


 などと素人感丸出しで禍々しい剣を眺めている。

 その傍ではタコ怪人がのたうちまわり、解放された人質が腰を抜かしてその場に固まっている。


「な、何者だ貴様!? こんな事してただでは――」


『まだ生きてたか。じゃあね』


「え――」


 タコ怪人は今度こそ一刀両断されて蹴り飛ばされる。

 

『さてと――次はそのハチ怪人さんか――』


「ま、待て――貴様は一体――」


 瞬間、謎の禍々しい戦士は一気に距離を詰めた。


 明菜でも反応できない程のスピードで。

 その気になれば明菜は銃弾をキャッチできる程の速さと目を持っているのにも関わらずにだ。


 眼前に迫った白銀の戦士は禍々しい赤い炎と共に拳を繰り出す。

 瞬間、ハチ怪人は空中に吹き飛ばされて大爆発が起きた。


『ええと――如月 明菜さん?』


「そ、そうだけど――」


 明菜はそう言われて困惑する。


『会えてよかったです。その、えーと、色と憧れの存在でした』


「え、ええ?」


 まるで憧れのアイドルにでも会ったかのような反応をされる。

 ますます困惑する明菜。


『んじゃあ行くか』 

 

 そう言って姿を消す。


「一体何者なの?」


 などと思っていると増援が来た。

 一体彼は何者だったのだろう。

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