今昔百鬼拾遺「天狗」 京極夏彦

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「 絶対に正しいことなんかこの世にはないのですと美弥子は云った」


出典:『今昔百鬼拾遺「天狗」』京極夏彦 より

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 今回は、京極夏彦さんの『今昔百鬼拾遺』三部作の最新作「天狗」のご紹介です。


この作品は……


****** 京極堂シリーズのスピンオフ作品になります。 妹であり【稀譚月報】記者・中禅寺敦子が「鬼」「河童」に続き、呉美由紀、今回登場の篠村美弥子と共に女性たちの失踪と死の連鎖の謎に挑みます。


     ◇


 京極堂の蘊蓄うんちくを楽しみにしている方には、少々もの足りない感じもあるかもしれませんが……。


 今回は「男尊女卑」や「家制度」という旧弊な問題が軸になっているのですが、それは今の時代よりも、もっと簡単にはいかないことだったろうと思われます。

 だからこそ、多くを割いて文中で語られる美由紀と美弥子の問答に、色々なことを考えさせられます。


 今の時代背景で語られるのではなくて、昭和のあの時代で語らせることで、事件への怒り、そして犯人の愚かさが、やり切れない思いと共に強く心に刻まれるのです。


 京極堂シリーズでは、いつも心に深く響く” 言葉 ”があるのですが、この作品でも沢山ありました。


 是非、読んで確かめてみていただきたいと思います。

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