「ぼくんち」 西原理恵子
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「 二太、ええかあ、泣いたら世間がやさしゅうしてくれるかぁっ。 泣いたらハラがふくれるかあ 泣いてるヒマがあったら笑ええっ!!」
出典:『 ぼくんち 』西原理恵子 より
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今回は西原理恵子さんの「ぼくんち」です。
*** 一太と二太は腹違いの兄弟。田舎の奥の奥の、どうしようもなく貧乏な漁村に住んでいる。 暴力や薬物が蔓延る漁業と風俗だけしかない町。
ある日、家出していた母ちゃんが連れて帰ってきたのは美しくて歳の離れた姉、神子(かのこ)
母ちゃんは、またすぐに家出してしまい、そうして母ちゃん代わりの神子と一太、二太、三人の生活が始まる。
◇
一太や二太の生きている環境は壮絶です。
底辺の生活。 ピンサロに勤めながら一家を支える姉、神子は、大きく温かい愛情でそんな二人を包んでいる。
どうしようもないけれど、どこか愛すべき人達とのふれあい。
痛いのです。痛くて痛くて、そして救いがあるわけではない。 そんな日々が淡々と、サイバラさんらしいユーモアを交えて描かれます。
悲惨であるけれども逞しい。時に笑ってしまうような。 逞しくて哀しくて愛おしい。
上っ面の優しさとか、薄っぺらい感動とかは此処にはありません。
不条理な現実や死もいたるところにある。
でも生きている。生きていく。
死んだ者は逝き 、残ったものは生きる。この日々を生きていく。
世界は残酷だけど、人は愚かだけど、小さな温もりを心の芯に抱いていれば、きっと生きていける。
そんなことを思いださせてくれる、ただ抱きしめたくなるような、これはそういう本なのです。
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